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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

パリ・オペラ座バレエ団「シンデレラ」ルテステュ・マルティネス ③

2010-03-18 10:11:57 | インポート
ヌレエフ版「シンデレラ」2010年 パリ オペラ座バレエ団 日本公演
3月12日(金)18:30 東京文化会館 93回目の公演

第一幕
第1場 シンデレラの家



ハリウッド近くで食堂を営む・・という設定ですがあまりそれらしくはありません。
高い天井から差し込む薄い光が、パリのガラス天井の歴史あるショッピング・アーケード(ギャラリー・ヴィヴィエンヌとか)みたいです。上手にある暖炉のそばで簡素なグレーのワンピースに同色の布で髪を覆ったシンデレラが。
アニエスはクールな美貌の長身でとてもほっそりとしているので、このうっすらとした光に照らされて薄幸そうな感じがにじみ出てきます。
お約束の意地悪な義理の姉たち・・・
イキイキとした愛らしさが持ち味の美女ドロテ・ジルベールがターコイズブルーの衣装で、はじけまくり。
大げさなオフバランスの踊り、に美人の原型をとどめないほど変幻自在の変な顔の百面相。
優等生のイメージのあるエミリー・コゼットはショッキングピンクの衣装で、ドロテほどではありませんが、やはり、イメージを突き抜けたしかめっ面や大きな動きで、この二人、恐ろしく面白いコメディエンヌ。
グレーの鬘とワンピースで登場のステファン・ファヴォランが継母。男性なのにポワントで気取って歩き、ちょっとしたしぐさにも大げさな味付けをして、なかなか笑わせてくれます。
父は酒浸り・・・なんとかやめさせたいとシンデレラが取り上げようとするのですが・・・その様子をあざけり虐める義姉たち。
外で車の事故?飛行機乗りのスタイルの若い男がふらりとやってきます。どうやら脚に怪我をした模様。
優しいシンデレラの親身な手当で彼は歩けるようになって出ていきます。

実は義理の姉たちはハリウッド映画への端役での出演が決まっており、準備に余念がありません。
HANAE-MORIからお届けもの。
大きな帽子ケース3つには姉たちのドレスと、継母のゴージャスな羽つきトーク帽にFOXのストール。
ダンス教師がヴァイオリニスト二人を従えて登場。
ステップを教えますが、どうも姉たちにはセンスがないみたい。
この教師役のバンジャマン・ペッシュが芸達者なところを見せて、絶妙に役にハマっています。
彼は女性のリフトが苦手で、早くからルグリとのデュオとかで注目されていたにも関わらずなかなかエトワールにはなれなかったんですよね・・・今でも、女性と踊るより、こういう性格俳優的な役で本領を発揮。
それにしても、義理の姉二人、ダンス教師と、この3人もエトワールなんですよね・・・・5人のエトワールを投入って豪華すぎる配役(!)

一人お留守番のシンデレラ、彼女も夢を持っている乙女。
先ほどのレッスンを見ていたので、ちょっと踊ってみたりして・・・
コートかけのハンガーに父親の服が。ジャケットを羽織り、ズボンをはき、タップシューズをトウシューズの上にはき(大変そう!)帽子にステッキ。男装のアニエスの粋なこと!
この姿で、チャップリンダンスを披露します。重たいコートかけを回して相手役として踊ったり、タイミングとテクニックが必要な踊りですがサラリとこなすあたりはさすが。
そこにやってきたのが先程の飛行機乗り・・・実は彼は映画プロデューサー。
シンデレラをスカウトに?
まずは衣装を選ばなくては。
ヴァンサン・シャイエ、プロデューサー役にしては若くてハンサム?
飛行機乗りの帽子をかぶった横顔はマチューか?と一瞬思ったほど。
王子様的な役だったっけ?と後でプログラムを見返してしまいました(笑)
ただ、ちょっとスノビッシュなムードを巧みに漂わせていて、なかなか魅力的な役作りだったと思います。

第2場 ファッションショー

春・夏・秋・冬・・・それぞれの季節を象徴的にあらわしたヘッドドレスをつけたシンプルなAラインのロングドレスの女性が、2組のカップルを従えて、踊ります。
衣装は縦方向に筆でフリーで色付けをしたようなカラフルかつシンプルなもの。
TOPソリストは春のリュドミラ・パリエロ、夏のエヴ・グリンツテインと最近注目株らしいプルミエ・ダンスールたちに、秋のメラニー・ユレル、冬のステファニー・ロンベールらベテランたちも見逃せませんが、ひきつれている面々も、夏のヤン・サイズ、サラ・コーラ・ダヤノヴァ、冬のマチルド・フルステー、シモン・ヴァラストロなどの実力派から、ルグリ先生の「スーパーバレエレッスン」でおなじみのジョシュア・オファルト、シャリーヌ・ジザンダネ、ロレーヌ・レヴィ、ファビアン・レヴィヨンなども登場しているので、目がいくつあっても足りない~!
4組が入れ替わり立ち替わり、そして総出で踊るのですがその間にシンデレラは黒ワンピに白いエプロンヘッドドレスのお仕着せのメイドたちに囲まれて・・・。
美しいパウダーピンクのドレスに着替え、羽とスパンコールのついたエレガントなヘッドドレスをつけて変身!です。

第3場 ハリウッド・スタジオ



巨大な摩天楼に向けてもっと巨大な3体のピンナップガールが・・・
ちょうど、今、上野の美術館で「タマラ・ド・レンピッカ展」が開催されていて、駅にポスターが貼られていたりするのですが、ちょっとレンピッカ作品っぽいタッチの背景。
偶然とはいえ、こういうセレンディピティって面白いです。。。
それはさておき、この摩天楼からプラチナブロンドのモンローのような女性が下りてきます。
・・・が12人の時の精たち(三島のハラキリに影響を受けてデザインされたのかしら?とても不思議なジャポニズムスタイルです)が踊る間にいつしか黒いマントの老婆に・・・。
プロデューサーがシンデレラに、今の美しさが移ろいやすく、時を得てチャンスをつかむことの大切さを知らしめるシーン。

そして巨大なかぼちゃが登場。
それが観る間にスーパー・カーにフォルムを変え、ふわりとゴージャスなマントを車にかけて、シンデレラは旅立ちます・・・











パリ・オペラ座バレエ団「シンデレラ」 ルテステュ・マルティネス ②

2010-03-17 04:08:51 | インポート
今日はオペラ座公演のない日(笑)
金曜日の初日、日曜日のマリ=アニエス・ジロー、カール・パケット組、月曜日のデルフィーヌ・ムッサン、マチュー・ガニオ組を見終えたら、もう、疲労困憊で・・・。
火曜日、大げさでなく、(自分が踊ったわけでもないのに・笑)足をひきずりながら出社しました

いや、濃い舞台でした。
映像では観ていたパリ・オペラ座ヌレエフ版「シンデレラ」。
1930年代のハリウッド映画スタジオに舞台を置き換えて、ちょっとミュージカル風の要素を取り入れたり、チュチュではなくて森英恵デザインの柔らかなミディ丈のドレスが衣装だったり・・・というのがなんとなくアイデア先行、クラシックバレエファンには物足りないかな?という印象を持っており、今回の来日公演演目の発表時にはせっかくの全幕公演なのに「シンデレラ」か~
「ジゼル」はいいとしても、ちょっとがっかりだな・・・などと思っていたのが申し訳なくなるくらい、実際の舞台で観た感想は・・・
ヌレエフって天才!ゴージャス!楽しかった!!

大がかりなセット、延べ150人強の出演者、エトワールやソリストクラスがふんだんに出演してコールドのダンスも技巧を凝らしたテクニック満載でしかも全編怒濤のダンス。
下に配役表をがんばってタイプしましたが(^^;)例えば四季のダンスのソリスト陣の豪華さ、この5人4組がセットで出てきて、そして交錯してしかもコールドを従えて、その上に主役級が出入りするものですからもう・・・どこを観たらいいものやら・・・絶句です。映像だとその一部を常にフォーカスしているわけですから、当たり前ですが、その周囲、全体でも踊りまくっているのが観えませんものね^^;

さて、ざっとおさらいを・・・。
と思ったのですが、今日は「ジゼル」のゲネプロ。
帰宅してから振りかえりの時間を作りたいと思います。中途半端ですが、また今晩続きをお楽しみに




パリ・オペラ座バレエ団「シンデレラ」 ルテステュ・マルティネス ①

2010-03-13 05:24:30 | インポート
いよいよ、Paris Opera座2010年来日公演が始まりましたね!
初日の3月12日(金)、さっそく東京文化会館へと行ってまいりました。



初日だけあって、脇もエトワール尽くしの豪華なCAST.
アニエスはエレガントでさすがの美しさ。
映像ではちょっと未整理な印象だったハリウッドを舞台にしたヌレエフ版は、舞台では各場面の迫力が楽しめて
なかなかステキでした。
今回は配役違いで3パターン制覇(!?)するつもりですので、極力、こちらでも遅れないように(!?)
ご紹介していきたいと思います・・・



終演後の主役のお二人。招聘元、NBSのブログでご紹介されていました。
長身でエレガントな大人のカップル。絵になります・・・。


パリ・オペラ座バレエ団 日本公演
「シンデレラ」(全3幕)


音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
振付:ルドルフ・ヌレエフ
装置:ペトリカ・イオネスコ
衣裳:森英恵
照明:グイード・レヴィ

1986年 パリ・オペラ座初演

◆主な配役◆

シンデレラ:アニエス・ルテステュ
映画スター:ジョゼ・マルティネス

二人の義姉:エミリー・コゼット、ドロテ・ジルベール
継母:ステファン・ファヴォラン

ダンス教師:バンジャマン・ペッシュ
プロデューサー:ヴァンサン・シャイエ
父:ジャン=クリストフ・ゲリ

第一幕

第1場:映画の断片

メイド: レイラ・ディラク、マリーヌ・ガニオ、ニノン・ロー
ヴァイオリニスト: 河合晃太、吉岡篤志

第2場:ファッション・ショー

春:リュドミラ・パリエロ
アマンディヌ・アルビソン、フロリアン・ロリウー、サブリナ・マレム、フロリアン・マニュネ

夏:エヴ・グリンツテイン
マリ=ソレーヌ・ブレ、ジョシュア・オファルト、サラ・コーラ・ダヤノヴァ、ヤン・サイズ

秋:メラニー・ユレル
シャリーヌ・ジザンダネ、ニコラ・ポール、ロレーヌ・レヴィ、ファビアン・レヴィヨン

冬:ステファニー・ロンベール
マチルド・フルステー、アドリアン・ボデ、ミニアム・カミオンカ、シモン・ヴァラストロ

第3場:ハリウッド・スタジオ

時計:ジャン=バティスト・シャヴィニ、エリック・モナン、ピエール=アルテュール・ラヴォー、ピエール・レティフ、ユーゴ・ヴィリオッティ、エリオ・クラベル、マイク・デルア、エティエンヌ・フェレール、アレクサンドル・ゴンチャロフ、バンジャマン・ユッソン、パスクアーレ=アレッシオ・レッツァ、ナンス・ピアソン

ワルツ:ロール=アデライド・ブコー、ヴァランティヌ・コラサント、ルシー・クレマン、エレオノール・ゲリノー、ヴァネッサ・レガシー、セリーヌ・パラシオ、カロリン・ロベール、オバーヌ・フィルベール、ポリーヌ・ヴェルデュザン、カリーヌ・ヴィラグラッサ、ノエミ・ジニアディス、エミリー・アスブン
ヤニック・ビタンクール、マチュー・ボト、ヤン・シャイユー、イヴォン・ドュモル、アクセル・イボ、ミカエル・ラフォン、シリル・ミティリアン、ダニエル・ストック、シリル・ショクルン、ジュリン・コゼット、アレクサンドル・ガス、アレクサンドル・ラブロ

第ニ幕

第1場:撮影現場

映画監督:アレクシス・ルノー
アシスタント:シモン・ヴァラストロ

オーディション:レオノール・ボラック、クララ・デルフィノ、レイラ・ディラク、ノエミ・ジニアディス、ペギー・デュルソー、マリーヌ・ガニオ、エミリー・アスブン、リュシー・マテシ、ソフィア・バルサン、ニノン・ロー、モー・リヴィエール、ジェニファー・ヴィソッキ

映画1:無益な追跡
囚人:アレクサンドル・ガス
看守:ジュリアン・コゼット、ユーゴ・ヴィリオッティ、エリオ・クラベル、マイク・デルア

映画2:パロディ・パレード
侯爵:ピエール・アルテュール・ラヴォー、アレクサンドル・ラブロ
倒錯者たち:ジャン=バティスト・シャヴィニ、シリル・ショクルン、エリック・モナン、ピエール・レティフ

映画3:キング・コング
タヒチアン・ガール:クララ・デルフィノ、レイラ・ディラク、ノエミ・ジニアディス、ペギー・デュルソー、エミリー・アスブン、ソフィア・バルサン
インディアン:アレクサンドル・ガス、ユーゴ・ヴィリオッティ、パスクアーレ=アレッシオ・レッツァ

第2場:シンデレラの撮影

映画スターの友人:ベルトラン・ベレム、フロリアン・マニュネ、ニコラ・ポール、ヤン・サイズ、マチュー・ボト、ヤン・シャイユー、イヴォン・ドゥモル、ジュリアン・コゼット

ダンサー:アマンディヌ・アルビソン、エロイーズ・ブルドン、マリ=ソレーヌ・ブレ、サラ・コーラ・ダヤノヴァ、マチルド・フルステー、シャリーヌ・ジザンダネ、ミリアム・カニオンカ、サブリナ・マレム、
フロリアン・ロリウー、ファビアン・レヴィヨン、ヤニック・ビタンクール、アドリアン・ボデ、アクセル・イボ、ミカエル・ラフォン、シリル・ミティリアン、ダニエル・ストック

カメラマン:ジャン=バティスト・シャヴィニ、シリル・ショクルン、アレクサンドル・ガス、アレクサンドル・ラブロ、ピエール=アルテュール・ラヴォー、ピエール・レティフ、ユーゴ・ヴィリオッティ、エリオ・クラベル、マイク・デルア、アレクサンドル・コンチャルク、エティエンヌ・フェレール、バンジャマン・ユッサン

メイド:ルシー・クレマン、エレオノール・ゲリノー、ロレーヌ・レヴィ、セリーヌ・パラシオ、カロリン・ロベール、ポリーヌ・ヴェルデュザン

第三幕

第1場:シンデレラを探して

スペインの居酒屋:
エミリー・コゼット
マリ=ソレーヌ・ブレ、サラ・コーラ・ダヤノヴァ、サブリナ・マレム
フロリアン・マニュネ、ニコラ・ポール、ヤン・サイズ

中国の酒場:
ドロテ・ジルベール、
マチルド・フルステー、シャリーヌ・ジザンダネ、ミリアム・カミオンカ

ロシアのキャバレ-:
ステファン・ファヴォラン、
ペギー・デュルソー、エミリー・アスブン、ニノン・ロー

第2場:シンデレラの家
第3場:シンデレラ、映画女優になる

演奏:東京ニューシティ管弦楽団
指揮:コーエン・ケッセル


◆上演時間◆

【第1幕】 18:30 - 19:15
休憩 20分
【第2幕】 19:35 - 20:20
休憩 20分
【第3幕】 20:40 - 21:20



ポリーナ・セミオノワの「シルヴィア」 ①

2010-03-04 03:08:02 | BALLET
バンクーバー、エキシビションの日(笑)、
2010年2月28日(日)、東京文化会館に行ってまいりました。

マラーホフの秘蔵っ子・・・ボリショイ・バレエ学校時代に、ウラジーミル・マラーホフに見いだされて彼の庇護のもと、すくすくと成長、今や20代半ば、押しも押されぬ国際的なスターダンサーに成長したポリーナ・セミオノワと、ABTのラテン系長身イケメンダンサー、マルチェロ・ゴメスが東京バレエ団に客演。
英国ロイヤルバレエ団の前回の来日公演でお披露目されたアシュトンの古典的な作品「シルヴィア」を東バで初上演・・・という企画。
どうやら、この演目がポリーナの所属するベルリン国立バレエ団でレパートリーに入ったことから実現したようで、衣装・装置はベルリンからのレンタル・・・ということで、舞台の美しさにも期待が持てます

2009年の「ラ・バヤデール」の東バ公演も、ミラノ・スカラ座バレエ団から一式レンタルしたことで、深みのあるゴージャスな舞台を堪能できてとてもよろしかったので、この方式はとても歓迎です
東バはベジャール作品をはじめとするコンテンポラリー系を得意としていますが、古典作品も多くレパートリーとして持っている一方で、その舞台美術や衣装で、来日公演の海外バレエ団に見劣りしてしまっていたのも事実。
新プロダクションで一からそろえるとお金もかかりますし、おいそれとレパートリーを増やせない、というのが実情だったのでしょうが、このやり方ですと、気軽(?)に古典の全幕上演にチャレンジできますよね。

さて、この日のCASTは・・・

東京バレエ団創立45周年記念公演X
東京バレエ団初演
「シルヴィア」(全3幕)

振付: フレデリック・アシュトン
復元: クリストファー・ニュートン
音楽: レオ・ドリーブ
振付指導: クリストファー・ニュートン、アンナ・デリシア・トレヴィエン


◆主な配役◆

シルヴィア(ディアナのニンフ): ポリーナ・セミオノワ
アミンタ(羊飼い): マルセロ・ゴメス
オリオン(邪悪な狩人): 高岸直樹
エロス(愛の神):  後藤晴雄 
ディアナ(狩り、純潔の女神): 高木綾

【第1幕】

シルヴィアのお付き: 乾友子、高木綾、奈良春夏、吉川留衣、矢島まい、渡辺理恵、川島麻実子、加茂雅子

【第2幕】

オリオンの女官: 吉川留衣、河谷まりあ
奴隷: 高橋竜太、岡崎隼也

【第3幕】

山羊: 河合眞里-松下裕次
シルヴィアのお付き: 乾友子、奈良春夏、矢島まい、渡辺理恵、川島麻実子、加茂雅子、小川ふみ、二階堂由依
ケレスとイアセイオン: 吉川留衣-梅澤紘貴
ペルセフォネとプルート: 佐伯知香-平野玲
テレプシコールとアポロ: 小出領子-長瀬直義

指揮:  ベンジャミン・ポープ
演奏:  東京ニューシティ管弦楽団

◆上演時間◆

【第1幕】 15:00 ― 15:45
休憩 20分
【第2幕】 16:05 ― 16:30
休憩 20分
【第3幕】 16:50 ― 17:25