結婚してからというもの、自分の部屋はなかった。
お母さんの部屋は台所でしょう と誰もが思っている。
我が家は普通の住宅なので、想定されている家族数は4人。一階がみんなで使うスペース、二階が個室。ところが我が家は三人の息子がいる。幸い、中学から高校へ と自室がほしい年ごろは渡米していたから、それぞれが個室を持てた。
でも、私には個室はなかった。自分の個室を使っている、友人がうらやましかった。主婦でも自分の作業場をそれぞれが持っていた。それも、ま、広いアメリカの住宅事情だからできることではある。
台所の机で勉強していると、何が困るって食事の時には片づけなくてはならないこと。急なお客様があったときに、机が本だらけになっていること。そして、あれこれ食べ物に手がでること。あれこれ用事を思いついて、落ち着かないこと。
授業の前の日など、いつまでも資料を出して仕事をしていると、家族も落ち着かない。
今は長男が就職し家を出ているし、二男は留学してるので、二階の一室が空いていた。でも、そこを使うと子供たちが帰ってきづらいようで、空けたままにしていた。
ところが、空けている部屋はほこりがたまり、たまに帰ってくる息子たちも使い心地がわるそうだ。そこで、思い切って、机を買い、本棚を買って、自分の部屋として使うことにした。
一室、一机。新鮮に、心から嬉しい。夕食が終わると、片づけて自室で作業をする。なんとも、けじめがついていいじゃない。授業の準備を途中にして夕食の支度にかかっても大丈夫。夕食後、前と同じように続きから始められる。
ほんまによかった。