自分でも気づいている、私の欠点は、気がかりなこと、気になって仕方ないことに、蓋をしてしまうこと。その時はよくても、あとからひどい目に合うのは、様々な場面で嫌というほど経験してきた。でも、直せない、直さない。
この国に来て、カレッジに入り、最初に心魅かれた先生がいる。凛として美しく、どんな学生にも迎合しない。どころか、自分より余程大きな男子学生に、きちんとしなさいと指導していた。大学を定年退職されるときに、私は花を持って、会いに行った。彼女は涙ぐんで喜んでくれた。そして、その後彼女は私の個人的な先生になってくれた。1週間の自分の時間の1時間をあなたの為に使うのに、私は何も困らないのよ。と、言ってくれた。実に自然に私を迎えてくれた。1時間の授業は、お茶も何もない。彼女は自分の仕事を途中で1時間空けてくれる、そんな感じだった。
その彼女が、突然ガンだと、気づいたのは昨年の夏休み明けだった。電話もできないし、会うこともできないと言われた。この国では、治療は病院で行うが、自宅で療養することが多い。彼女は抗がん剤治療を、通院で行っていた。免疫力が低下しているので、外部からの来訪者は、余病のもとになったりする。私は、突然のことに訳が分らず、泣いてばかりいたが、彼女の行く教会で、病気の内容を教えてもらった。昨年末に、彼女にクリスマスプレゼントを届けに教会に行き、司祭をしている彼女のご主人に、玄関で偶然お会いした。彼は、私を家に連れて行ってくれ、彼女に会わせてくれた。二人で抱き合って泣いた。
その後、年明けに、手術を受け、順調に回復していると聞いていた。メールを出すと、遊びにおいでと、ご主人から返事をもらった。
なのに、私は行かなかった。どうしてだろう。言葉の壁、自分の不誠実さ・・・・。毎日気になりながら、回復に向っているから、大丈夫と、蓋をしてしまった。
夏休みに、彼女の掃除、庭仕事、なんでもいいから手伝おうとメールを出したが、返事が返ってこない。電話をしてみた。ご主人が、とっても状態が悪いのだと言う。手術後の、抗がん剤の治療が相当きついらしい。私は何をやっていたのだろうと、後悔ばかりしている。