2013年7月1日の午後7時30分からNHK総合テレビで放送されたクローズアップ現代の「生物に学ぶイノベーション ~生物模倣技術の挑戦~」を拝見し、いろいろと考えました。
NHK総合で放送される「クローズアップ現代」は、ある特定のニューストレンドを30分で分かりやすく解説する番組です。
今回放送された「生物に学ぶイノベーション ~生物模倣技術の挑戦~」は、NHKのWebサイトによると「いま、厳しい生存競争の中で生物が進化させてきた機能を模倣する『バイオミメティクス(生物模倣技術)』により、革新的な技術が次々と生まれようとしている」ことを解説したそうです。
具体的には「電子顕微鏡やナノテクノロジーの進化により、生物の「神秘のメカニズム」を分子レベルで解明、再現できるようになってきたのだ。次世代技術として期待される一方で、日本では昆虫学や動物学の研究者と工学系の技術者との連携が弱く、製品化の動きは欧米に大きく遅れを取っているのが現状だ。“生物のパワー”をどう技術開発に生かし、イノベーションにつなげていくのか。加速する企業や大学での研究の最前線を追い、可能性と課題を探る」ことを伝えたそうです。
この中身は、弊ブログの2013年3月17日編に掲載した内容とかなり重なっています。その理由は、文部科学省の科学研究費新学術領域「生物規範工学」プロジェクトが研究開発する目標と意義などを解説したからです。ニュースソースが同じなので、解説の中身は当然、同じものになります。
人類はやっと昆虫やは虫類、鳥類、ほ乳類などの生物が獲得した常温・常圧の環境下で、必要な物質をつくり出す入り口に入ったことを伝えています。
例えば、クモがつくり出す強くてしなやかな糸を目標に、慶応義塾大学発ベンチャー企業のスパイバー(山形県鶴岡市)がドレスを試作したニュースが最近報道されました。まだ試作段階で、製品としての品質や価格が安定してつくれる段階ではありません。
例えていえば、ライト兄弟が飛行機第一号を数100メートル飛行させた段階です。この飛行機を“要素技術”として、航空機運用網を組んで、一般の方が移動に利用できる事業化まではまだ時間がかかります。事業のシステムをつくるイノベーションが必要です。飛行機1台では、航空ライン・飛行場網はできません。運用システムの事業開発が必要になります。
また、以前にカイコがつくる生糸を模倣して、ポリアミド(通称ナイロン)を開発しましたが、ポリイミドは高温・高圧の反応が必要です。今後は、常温・常圧でどうやってつくるかを目指し必要があります。予想以上に、至難の業です。
同様に、アワビの殻のようなセラミックス材料を常温・常圧で穏やかな反応によってつくるには、現行の高温・高圧で高速でつくる現行の工業技術からかなりのパラダイムシフトが必要になります。
持続可能性社会に向けた技術革新としての生物規範工学を実用化するには、かなりの研究開発とその事業化開発が必要になります。人類はやっと生物が行っている工業的な仕組みを明らかにし始め、それを利用する端緒についたところです。
数10年から数100年先に実用化できる技術が生物規範工学です。NHKの番組は、一般の方が生物規範工学に強い関心をもつように、少し夢を語りすぎました。そんなに簡単には実用化できません。ここを誤解して、妙に早い事業化を期待してはいけないと感じました。
NHK総合で放送される「クローズアップ現代」は、ある特定のニューストレンドを30分で分かりやすく解説する番組です。
今回放送された「生物に学ぶイノベーション ~生物模倣技術の挑戦~」は、NHKのWebサイトによると「いま、厳しい生存競争の中で生物が進化させてきた機能を模倣する『バイオミメティクス(生物模倣技術)』により、革新的な技術が次々と生まれようとしている」ことを解説したそうです。
具体的には「電子顕微鏡やナノテクノロジーの進化により、生物の「神秘のメカニズム」を分子レベルで解明、再現できるようになってきたのだ。次世代技術として期待される一方で、日本では昆虫学や動物学の研究者と工学系の技術者との連携が弱く、製品化の動きは欧米に大きく遅れを取っているのが現状だ。“生物のパワー”をどう技術開発に生かし、イノベーションにつなげていくのか。加速する企業や大学での研究の最前線を追い、可能性と課題を探る」ことを伝えたそうです。
この中身は、弊ブログの2013年3月17日編に掲載した内容とかなり重なっています。その理由は、文部科学省の科学研究費新学術領域「生物規範工学」プロジェクトが研究開発する目標と意義などを解説したからです。ニュースソースが同じなので、解説の中身は当然、同じものになります。
人類はやっと昆虫やは虫類、鳥類、ほ乳類などの生物が獲得した常温・常圧の環境下で、必要な物質をつくり出す入り口に入ったことを伝えています。
例えば、クモがつくり出す強くてしなやかな糸を目標に、慶応義塾大学発ベンチャー企業のスパイバー(山形県鶴岡市)がドレスを試作したニュースが最近報道されました。まだ試作段階で、製品としての品質や価格が安定してつくれる段階ではありません。
例えていえば、ライト兄弟が飛行機第一号を数100メートル飛行させた段階です。この飛行機を“要素技術”として、航空機運用網を組んで、一般の方が移動に利用できる事業化まではまだ時間がかかります。事業のシステムをつくるイノベーションが必要です。飛行機1台では、航空ライン・飛行場網はできません。運用システムの事業開発が必要になります。
また、以前にカイコがつくる生糸を模倣して、ポリアミド(通称ナイロン)を開発しましたが、ポリイミドは高温・高圧の反応が必要です。今後は、常温・常圧でどうやってつくるかを目指し必要があります。予想以上に、至難の業です。
同様に、アワビの殻のようなセラミックス材料を常温・常圧で穏やかな反応によってつくるには、現行の高温・高圧で高速でつくる現行の工業技術からかなりのパラダイムシフトが必要になります。
持続可能性社会に向けた技術革新としての生物規範工学を実用化するには、かなりの研究開発とその事業化開発が必要になります。人類はやっと生物が行っている工業的な仕組みを明らかにし始め、それを利用する端緒についたところです。
数10年から数100年先に実用化できる技術が生物規範工学です。NHKの番組は、一般の方が生物規範工学に強い関心をもつように、少し夢を語りすぎました。そんなに簡単には実用化できません。ここを誤解して、妙に早い事業化を期待してはいけないと感じました。