ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

ミステリー作家の伊坂幸太郎さんの小説「ガソリン生活」を読み終えました

2013年07月08日 | 
 ミステリー作家の伊坂幸太郎さんが書いた、ミステリー小説のような奇妙な味の小説「ガソリン生活」をやっと読み終えました。

 一見軽妙な文章で、伏線をしっかり用意している、高い構成力の持ち主である伊坂幸太郎さんは好きな作家の一人です。

 この奇妙な味の小説「ガソリン生活」は2013年3月7日に発行されました。出版社は朝日新聞出版です。この小説の基は、朝日新聞紙の2011年11月21日から2012年12月10日まで連載されたものです。ただし、大幅に加筆修正したとと書かれています。おそらく、かなり加筆しています。



 小説の主人公は緑色の乗用車「デミオ」です。お隣の家が所有する白色のカローラGTが友達です。この奇妙な味の小説は、車同士が会話し、持ち主も知らない本当の話や噂話をして情報交換し、読者に状況を説明することが持ち味です。

 同時に、緑色の乗用車の「デミオ」の持ち主の20歳の望月良夫(もちづきよしお)さんとその弟が準主人公として、行動し、会話し、状況を説明します。

 今回の伊坂幸太郎さんの新作「ガソリン生活」の根底に流れる基本テーマは、以前の小説の「夜の国のクーパー」(東京創元社、2012年5月30日発行)と同じものです(弊ブログでは、2012年7月5日編です)。人は見かけとは異なる性格・行動をするというものです。人間ばかりでなく、ものや現象は見た目とは異なるものがありえるということです。解釈しだいで、見えるものが異なってくるというものです。あるいは、真実はそう簡単には外見からはつかめないというものです。

 この小説「ガソリン生活」のミステリー部分を、ネタばらしにならない程度に説明すると、准主人公に当たる良家のお嬢さんで、かなりの美人の「荒木翠」さんは、パパラッチ記者に追跡されて、トンネル内で自動車事故が起こって焼け死にします。この悲劇の交通事故に対して、現実に起こった英国王室のダイアナ妃の事故の“本当の真相と称する”うわさを重ねて複雑にします。

 良家のお嬢さんの「荒木翠」さんは、平凡な真面目な一般人と結婚しています。このことが週刊誌などの記者には、面白い記事にはならないからとの変な理由から、あること無いことのうわさを立てられ、無責任なうわさ話の記事が報道されます。

 ネタばらしを少しすると、「荒木翠」さんの結婚相手の夫は、平凡な真面目な一般人ではなかったのです。外見からは分からない、この隠された事実は、ある種の悲劇を呼びます。人は見かけとは異なる性格の持ち主というテーマが浮上します。
 
 今回の奇妙な味の小説「ガソリン生活」は読みかけでのまま放置されていました。読んでも、いつもの伊坂幸太郎さんの文章のようにスラスラと読めず、途中で止めました。車同士の会話と、その車の持ち主の会話が重なり、煩わしい感じでした。

 今回は、本のWebサイトからのリコメンドメールとして、伊坂幸太郎さんの次の最新作「死に神の浮力」が7月31日に発行されると伝えてきたからです。一応、小説「ガソリン生活」を読了しておかなければと考えたからです。このこと自身が、この本の読後感想を物語っています。