ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

経営誌「日経ビジネス」の特集「外弁慶企業 HITACH」を拝読しました

2015年07月10日 | 日記
 2015年7月6日に発行された経営誌「日経ビジネス」の特集「外弁慶企業 HITACHI 世界から壊す成長の壁」を拝読しました。

 大手電機メーカーの日立製作所は、日本国内のイメージ調査結果では「閉鎖的社風 革新性がない 商売下手」というイメージが浸透しているとの結果だそうです。ところが、日立製作所は海外拠点では、革新的な企業改革を実施し、進出した海外では、「事業展開の仕方が最高にクール」などと、“海の向こう”では革新的でエキサイティングと評価されているとのことです。

 経営誌「日経ビジネス」はこれを「外弁慶企業 HITACHI」という特集で解説しています。



 海外で日立製作所が注目されている事例として、テレビコマーシャルでよく伝えている欧州での鉄道事業展開を取り上げています。

 日立製作所は、英国に鉄道事業の事務所を1999年に開設しながら、現在の日立レールヨーロッパの存在感はあまり高くありませんでした。しかし、世界の鉄道事業の主戦場である欧州市場で、日立製作所は力を入れ始め、2012年7月に英国のIEP(都市間高速鉄道網計画)事業を受注し、一躍、注目を集めます。総事業費が57億ポンド(当時の換算レートで約7000億円)の超大型案件でした。

 世界の鉄道車両・システム事業では、フランスのアルストム、ドイツのシーメンス、カナダのボンバルディアが激しく競合しています。この中では、2015年3月期の各社の決算資料によると、日立製作所の売上高成長率が約160パーセントと、他の3社の約2倍を示しています。

 売り物の鉄道車両の高い技術に加えて、車両の運行情報や信号制御などの情報システム技術とのパッケージ化や運転支援技術などの膨大な技術資源を提供できる実力があるからと解説しています。
 
 英国の鉄道ビジネスは日本とはかなり商習慣が違います。このため、英国の鉄道会社に在籍してきたキーマンを引き抜いたのを手始めに、多くの外国人スタッフに権限を委譲し、事業の進め方を改革しました。この結果、欧州では日立レールヨーロッパに転職したいという人材が後を絶たないとまとめています。
 
 同様に、日立製作所のIT(情報技術)事業を担う子会社の日立データシステムズ(HDS)は、日立製作所のITプラットフォーム事業本部と“バーチャルカンパニー”態勢を築き、多くの外国人スタッフを含む他国籍従業員がかかわる態勢に切り替えたそうです。
 
 従来はそれぞれの部門に情報を逐次、伝える従来方式だったのを、セールス部門がユーザーから受けた“オファー”をワンストップで、当該の開発陣に伝えるという、一つの目標に対してスピード感ある開発態勢を築いたと、解説します。文字にすると、当たり前のことですが、これは多くの日本企業では実現することが困難なことです。
 
 ここまで読むと、日立製作所で高い成長を示している事業部門は、海外市場のビジネスの仕方を導入している部門ということになります。多くの日本企業は、海外の市場でビジネスを展開しています。要は、その製品・サービスを提供する各海外市場向けに仕事のやり方を改革することが重要ということになります。
 
 少なくとも海外市場で事業を展開する日本企業の多くは、これまでの国内市場向け、あるいは同僚が日本人ばかりだった態勢を変えることがポイントになると示す成功事例になります。
 
 こうした海外市場をにらんだ企業改革では、「いずれ日立製作所の本社でも、英語での会議が当たり前に」と、相談役の川村隆さんは語ります。川村さんは、前会長であり、元社長です。
 
 日本企業は、これから従来の仕事のやり方を変え、他国籍の従業員が働く環境に変わっていくと伝えています。今回の特集「外弁慶企業 HITACH」を読んで、あれこれ考え始めています。