新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

韓国を内側と外側から観察すれば

2023-03-02 08:08:29 | コラム
3月1日のPrime Newsから:

私は昨夜の真田幸光・愛知淑徳大学教授と日経新聞元論説委員鈴置高史氏に対して、産経新聞韓国特別(だったか)駐在論説員・黒田勝久氏が展開した予期せざる論争を、大いに楽しんで聞いていた。それを聞いた上での感想は、口幅ったいことを言えば、真田・鈴置組が展開する論調は「外側から見た韓国」であり、黒田氏は「内側から見た韓国論」であり、私がこれまでに繰り返して述べてきた「内側から見てきたアメリカ論」よりも、大学教授や専門家や高名なジャーナリストが展開される「アメリカ論」が遍く受け入れている(と私が感じているのだが)現象にも似ていると受け止めていた。

論点は「韓国の尹錫悦大統領が3.1記念日の演説で「日本はパートナーである」と述べていたことの真贋を問うこと」にあったと解釈している。鈴置氏は「韓国の罠にはまるな」という分かりやすい主張で、大統領がどう語ろうと韓国の本質は変わっていない。その点は懸案である朝鮮半島労働者問題への韓国側が提示した解決案は文在寅時代と何ら変わることがないように、西側に与したような話をまともに解釈しない方が良い」と主張された。

私は尹錫悦氏が大統領に就任され、日韓関係の改善と唱えた際に、政治家もマスコミも大歓迎だったのに対して「それでは甘くないか。尹大統領は文在寅政権よりは善良かもしれないが、尹氏と雖も一人の韓国人であることは変わっていないではないか」と指摘した。要するに鈴置氏の主張と同じだったと思って聞いていた。

これに対する意見を求められた黒田氏は「大胆不敵な意見だ」と前置きして「韓国は北朝鮮の核とICVMの脅威が増した以上、西側に与することに舵を切ったのであり、鈴置氏の主張は当たらない」と否定した。それに対して真田教授は「40年間も韓国にいて未だそんな認識か」と気色ばんだ言い方で、黒田氏の韓国擁護論に水を差した。これまで再三テレビに登場された温和な真田教授を見てきただけに、一寸した驚きだった。

議論はこのまま最後まで噛み合わなかった印象だが、私はアメリカ式の視点に立てば「議論とはあのように展開されて良いのである。異なる意見を持つ者の間で感情を交えることなく腹蔵なく徹底的に議論を交わし、どちらが勝とうと、平行線のままで終わろうと、終了の時点で「今日は良い討論ができて有り難う」と、笑って握手して別れれば、それで良いのだ。だが、私は経験から言うので、このように討論を展開して笑って別れるようなことは、我が国の人たちは慣れていないというか不向きなのだ。

昨夜は黒田氏がソウルからリモートでの出演だったので、笑って握手して解散はしなかっただろうと思う。だが、私には「尹政権下の韓国の実情」を内側と外側から観察すれば、あれほどハッキリと違いが出る性質なのだ」と、改めて確認できたのは非常に有意義だった。おそらく、黒田氏が内側にいて現場で集められた情報と、真田・鈴置組が多くの情報網を構築され、国の内外から収集された情報に、ご当人たちの見解を加味すれば、あれほど大きく違ってくるものなのだということ。

私には何れの見解というか意見が正解であるかなどと判定できるものではない。それこそ、河野太郎大臣の名言(迷言?)「気球に訊いてください」を真似れば「尹錫悦大統領に訊いてください」となることだろう。但し、黒田氏は内側の人だが、私のようにアメリカの会社の社員として彼らの為に彼らの文化・思想・哲学に従って行動されてきたわけではないと思う。そうではあっても「現場にいて感じた皮膚感覚」は尊重したい気がする2時間弱の聞き物だった。