テレビ局と新聞社に告げる「ラグビー日本代表がベスト8進出ならず」のように言え:
長ったらしい見出しになってしまったが、ここまで言わないと意味をなさないと思っている。いきなり話を本筋から外すが、当方はずっと「マスコミの持て囃しすぎと過剰な報道は、ろくな結果をもたらさない危険性が高い」と指摘してきた。この場合には、褒めそやされた当人かティームが思い上がるとか増長したというのではない、念のため。言うなれば「持ち上げ過ぎて、視聴者に過度な期待をさせてしまわないように報道して欲しい」のである。
何を指して言っているのかと言えば、昨日残念ながらアルゼンチン代表に27対39で負けて予選リーグ突破がならなかったラグビー代表のことだ。サッカー経験者だから僻んで言うのではないが、マスメディアはラグビーという競技を少し褒めすぎというか、何か神聖なるスポーツであるが如き扱いをしていると日頃から感じている。
今回のW杯にしても、我が国の代表が「ベスト8」か、それ以上に進出することを期待して、私に言わせれば過剰な扱いで報道してきたのだ。私は一般の方に大いなる期待を持たせたのではないかと懸念していた。あるフットボール経験者は「あれは何なんだ」と言って笑っていた。だから、褒めすぎとの間に因果関係がなかったにもせよ、少し格上のアルゼンチンにトライの数で言えば3本対5本で負けてしまう結果になったのだ。
我が国の代表ティームの活躍には誰しもが期待するものだが、マスコミ報道は極端に言えば詭弁的なのだ。それは、何かと言えば「ベスト8」と言うが、ラグビーのW杯の場合は参加国数が少なく、予選リーグが4組なのだ。その中で上位2位に入れば、決勝トーナメントに進出できる8ヶ国、即ち「ベスト8」に自動的に入れるのだ。
だが、サッカーのW杯では予選リーグが8組あるので、上位2ヶ国に入ってもベスト16でしかないのだ。だが、予選リーグの上位2ヶ国に入って勝ち上がったことは同じだ。サッカーではトーナメントで1回勝たないとベスト8には残れないのだ。だから、ラグビーの場合は予選リーグから勝ち上がれた場合に「ベスト8」と呼ぶのは誤りではないが、正確な報道ではないと思う。テレビ東京が報じたように「決勝トーナメント進出ならず」とする方が適切だと思うのだ。
今回も多くのテレビ局は「ベスト8」への勝ち上がりに絶大な期待をしていた。そう伝えたいのであれば、予選リーグが4組であり、勝ち上がれた時点で「ベスト8」入りだと解説しておいて欲しかった。サッカー出身者としては「サッカーの代表は「何時まで経ってもベスト16止まりの弱小ティーム」の如き印象を与えているように思えて残念なのだ。前回のW杯でも予選リーグはチャンと突破しているのだ。
彼らのラグビーを褒め称えているかの如き扱いは間違いであるとまでは言わないが、気になって仕方がない。しかも中継するアナウンサーたちは気取って「オフロード」だの「ジャッカル」だのと、その専門語を解説もしないで使っているのは如何なものか。また、試合終了を「ノーサイド」(=no side.)という、最早本国の英連邦でも使っていないと聞く表現を使って「如何にラグビーが紳士のスポーツであり、スポーツマンシップに則っているか」を強調するのも聞き辛い。
この関連で既に指摘したことで、アナウンサーも解説者も「左利き」を「サウスポー」(=southpaw)と言うが、これもアメリカでは最早死語に近いと教えられている。これを言うなら、某終身名誉監督が使われている「レフティー」(=lefty)の方が俗語であっても現代の言葉だ。言葉は生きているものを使って貰いたいもの。
ここまで縷々申し述べてきたが、報道機関には「伝えることの内容を正確に、適切な言葉を使って報道して欲しい」ので、その例としてラグビーの扱いに対して適切であると思っている意見を述べた次第だ。