何故、恣意的に英語とは異なる表記にしたのか:
先ず確認しておくと「今回は日本語を混乱させているのは誰だ」を論じるのではない。止めどもなく氾濫していくカタカナ語の中で元の英語の発音とは異なる表記になっている言葉を取り上げようという試み。小学校から英語を教えてなどと言う考え違いをしていながら、カタカナ語表記を改善するとか、制約しようとしない文部科学省の不見識を憂いて論じるのである。
さらに、テレビ局と新聞社にも「キチンと辞書を引いて正しい発音に近いカタカナ語を使うよう」に求めたいのだ。彼らが使えば、罪なき視聴者は真似てしまうのだと看做している。彼らには反省を求めたい。以下に幾つかそのおかしな例を挙げておこう。
アワード=award、
解説)毎回指摘していることで、この表記をした何方かは辞書を引かなかったのかという疑問。正確な発音というかあるべき表記は「アゥオード」である。これを作り出したのは通信社か新聞社か知らないが、多数のテレビ局は知ってか知らずにか平然とアナウンサーたちに「アワード」と言わせている。何が違うのかという解りやすい例を挙げておくと、戦争の意味のwarを「ワー」と言うかという事。
エネルギー=energy、
解説)この単語の元になっているのはenergeiaというギリシャ語だそうだ。それを真似てenergyを「エネルギー」としたのかも知れないが、英語での発音は「エナジー」である。
エンゼルス=Angels、
解説)言うまでもない大谷翔平君の現時点での所属球団である。英語の発音は「エインジェエルス」なのである。「ロサンゼルス」=Los Angelesも同様に「ロスアンジェルス」で最も原語に近いと思う。何故かカタカナ語製造業者はgeを「ゼ」と表記する傾向がある。
カジュアル=casual、
解説)実は当方は1996年までcasualが「カジュアル」のようにカタカナ語化されているのを知らなかった。20年以上もアメリカ人の中で働いてきたが「カジュアル」という発音を聞いたことがない。「キャジュアル」であると固く信じている。どういう理由で「カジュアル」にすると決めたのだろうか。
クライアント=client、
解説)これなども不可思議な例であり、clientを「クライアント」になるのか解らなかった。もしかすると、フランス語読みかとも考えたこともある。先頃、カタカナ語の世界では「クライエント」は文字通りのclientの意味で使い分けているようだと解説したが、そんな使い分けをしている場合かという事。
コラーゲン=collagen、
解説)英語表記のcollagenを普通に読めば「コラージェン」になるはずだ。それが何故か、我が国では「コラーゲン」という表記になっていて、何処からの疑義が呈されなかったようだ。これの反対がRoppongiのようにローマ字で表記すると、外国人に「ロッパンジ」と読まれてしまう例がある。
セキュリティー=security、
解説)この「セキュリティー」などは私が最も嫌悪しているカタカナ表記だ。製造業者に問いたいことは「本当は『セキュアラテイー』が最も原語に近いにも拘わらず、ローマ字読み式にセキュリティーとする必然性がどこにあるのか」なのだ。何故、英語の本来の発音とは異なる表記をするのか、私には理解できない。平然と「セキュリティー」という有識者や国会議員たちの英語力が疑問だ。
チタン=titanium、
解説)原語の「タイテイニアム」が一気に短縮されて「チタン」で通用している。一時は「チタニュウム」と表記されていたことがあったと記憶する。
モデルナ=Moderna、
解説)ご存じの方が多くあって欲しいと願っている。このワクチンの製造元は「モデルナ社」ではない。製造業者は如何なる根拠があって「ル」と発音されない“r”を「ル」として表記したのか。この会社は「マダーナ」か、最大限譲歩しても「モダーナ」という社名なのだ。カタカナ語製造業者は事あるごとに「ル」とは発音されない“r”を恣意的に「ル」とするのは怪しからんと思っている。