新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

慣用句(=idiomatic expressions)を覚えておこう

2023-09-30 07:45:35 | コラム
単語を覚えていても「慣用句」を知らないと解らないnative speakerの表現:

私はずっと以前から我が国の英語教育で「単語を覚えることを重要視する」のを批判して「単語は文章の流れの中でどのような意味で使われているかを覚える方が良い」と指摘してきた。今回はこの主張を理解して貰う為にも、簡単で易しい単語ばかりを使った慣用句を使った例文を幾つか取り上げて、native speakerたちが日常的に使っている慣用句が、どれ程解りにくいかを示していこうと思う。例によって思いつくままに並べていこう。

“It’s a piece of cake.”
解説)「ケーキの一切れ」ではない。”a piece of cake”で「簡単なこと」か「たやすいこと」や「朝飯前」になるのだ。”I can get the job done before breakfast.”とはならないのだ。これなどは「俗語」(slang)の範疇に入るかもしれない気もするが。単語だけを覚えていても、英会話は”a piece of cake”とはならないのだ。

“It’s all Greek to me.”
解説)「全く何のことかちんぷんかんぷんである」という意味になる。思うに、ギリシャ語が何のことか解らなかったからこうなったのかも。慣用句もその部類に入ってくるだろう。単語だけを覚えていてはGreekになってしまうのでは。

“I get a kick out of Jazz music.”
解説)「ジャズを蹴飛ばす」のではなくて、get a kick out ofで「大いに楽しむ」とか「愉快になる」という意味になる。確か”I get a great kick out of you.”という歌詞のジャズソングがあった。

“I’ll keep my fingers crossed for you.”
解説)初めて指を交差させてこの言い方を聞かされた時には、何を言っているのかサッパリ解らなかったので、反応できなかった。これで「君の成功を祈っている」になるとは後で同僚に説明して貰ってやっと理解できた。正式には”to cross one’s fingers”なのであろう。

“A little bird told me that he will soon tender a resignation.”
解説)これで「噂によれば(ある人から聞いたことでは)、彼は間もなく辞表を出すそうだ」となる。”a little bird told ne”がそういう意味なるのだそうだ。なお、「辞表を出す」が英語ではtender a resignationというらしい。

“We will visit Ukraine come hell or high water.”
解説)これで「我々は何が何でウクライナを訪問する」の意味になる。”come hell or high water”で「雨が降ろうと槍が降ろうと」のように使われている。強調しておきたいことは、ここに上げた例文のように、言わば易しい言葉ばかりを組みあせると、全くそれぞれの単語とは異なった意味になってしまうのが慣用句の怖い所なのだ。

こういう慣用句に加えて、俗語(符丁、隠語)のslangが入ってくるし、”What’s new today?などが”How are you doing?”のような挨拶の代わりに日常的に出てくるのだから、単語の意味だけを覚えていても、現場では余り役に立たないと解っていただければ幸甚である。



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