新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

McDonald's 物語

2022-01-16 11:24:26 | コラム

アメリカで「マクドナルド」と言ったら通じなかった:

今年になってからだったか、ジムで語り合った方から「アメリカでマクドナルドと言っても通じませんでした」と言われた。それは、その方の責任ではないと申し上げたのだが、アメリカでの発音を何とかカタカナ書きすれば「マクダーナルズ」辺りになってしまうからだった。

先週は心ならずもそのマクダーナルズで夕食という事になってしまった。それは事前に調べておかなかった為に、お目当ての鼎泰豊カレッタ汐留店が閉店されていたとは知らなかったのが原因だった。もう時間的に余裕もなかったので、緊急措置でマクドナルドに飛び込んだのだった。そこで思い起こせば、このアメリカを代表しているかのようなファストフードの店舗に入ったのは、2010年1月のカリフォルニア州はロスアンジェスからバークレーに向かっていた時以来の12年振りだったのだ。

あの時はSM氏に案内して貰って、彼の運転で一泊二日の旅で言うなればサンフランシスコの直ぐ近くのバークレーで、カリフォルニア大学バークレー校と同校ロスアンジェス校(UCLA)という、同じ大学同士のバスケットボールの試合を観に行った旅行だった。念の為に述べておくと、両大学とも州立のカリフォルニア大学なのだ。

その長距離のドライブの途中でSM氏が「窓の外を良く見ていて、マクドナルドがあったら教えて下さい」と言うので、何のことか解らないままフリーウエイの両側を懸命に見ていた。すると、右側に一店発見できたので知らせると「そうですか」とばかりにSM氏はフリーウエイを降りて、その店舗の駐車場に入っていった。別に食事時でもなかったので「何で?」と尋ねると「トイレ休憩です」という返事で、益々解らなくなった。

彼の説明では「こちらでは、マクドナルドには何も食べないでトイレだけを利用しても構わないという了解があるのです」となっていた。なるほど、その時には私にとっては丁度そのタイミングだったので、「大変結構」とばかりに初めての経験で遠慮無くなく使わせて貰ったのだった。

このトイレのみの利用という経験は、永年ワシントン州内のみのフリーウエイしか知らなかった私には、些か衝撃的と言うか大袈裟に言えば「カルチャーショック」だった。シアトル市内か、そこから約40 km程離れた南にある我が懐かしの本社から、州の南部のロングヴィユー工場までは2時間乃至は2時間半のドライブなので、確かに途中でトイレ休憩の必要もあった。

だが、アメリカにはパーキングだのサービスなどという気の利いたエリアなどは無いのだ。そこで、ワシントン州の我が同僚たちはキリスト教会の信者の方が善意で運営されている無料でコーヒーを提供して下さる場所の近所にある公衆の設備を利用するのだった。思い出してみれば、そのインターステート#5(通称I5「アイファイブ」)の周囲にはマクドナルドは無かった。

事、公衆便所についてはヨーロッパに行っても同様だが、我が国のように至る所に完備しているという訳にはいかないのである。以前にも述べたが、往年のキングドームでMLBの野球を見終えた23時過ぎに、時差の影響で救急にその需要に迫られた際には、ドームのガードマンに「近所の深夜営業のレストランに行って、ボーイにテイップを弾めば使用可能だ」と聞かされて無慮5ドルを投資して急場を凌いだことがあった。

念の為に「マクドナルド」について講釈をして見よう。Wikipediaによれば、この会社はマクドナルド兄弟が1940年に創業したものであるので、McDonald’sのように「所有格のs」が付けてあり「マクドナルド家の店舗」であることを表示しているのだ。これはアメリカに良くある事で、創業者かまたは所有者の名字を示す為に「誰それの店」と表示されている一例に過ぎないのだ。

であるから、McDonald’sを「マクドナルド」と呼ぶのは、理屈を言えばおかしいのである。正確には「マクダーナルズ」が正しいのだが、カタカナ語による表記に良くある誤りで、所有格や複数を表す「s」は省略されてしまっているのだと思っている。

もしかして、ここまでお読み頂いて「何だ。これが言いたかったのではないのか」と言われそうだと思うが、そうとばかりではない。12年振りに味わったマクドナルドのチーズバーガーは、年商21億ドルのMcDonald’s のよりも少し美味だったような気がしたのだった。

参考資料:Wikipedia

 



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