世界で段ボール原紙の需要が停滞:
紙パルプ産業界で現在・将来共に需要が伸びていくだろうと、誰しもが見込んでいたのが段ボール原紙と箱及び衛生用紙だった。その中にあって我が社はアメリカ最大級の段ボール原紙とは箱のメーカーでありながら、2010年前に年間6,000億円超の売上高を誇っていたこの事業部を売却してしまっていた。それどころか、2017年を以て完全に紙パルプ産業界から撤退してしまっていた。
その大英断が吉と出たのか凶と出たのか、リタイアして30年も経ってしまった私如きには判断のしようもないが、紙業タイムス社が発行する週刊誌版Future誌の最新号によれば、「コロナ(=COVID)後には世界の段ボール原紙需要は停滞している」のだそうだ。これは一寸意外なニュースだったので、その内容をかいつまんで紹介してみようと思う。
なお、個人的に好みではないと言う理由を、ここにつまびらかにしようとまでは思わないが、言うなれば事業部の間には対立関係もあるという事。
「世界の段ボール原紙と箱の産業界とは」ご存じではない方もおられるかと思うので触れておくと、紙と板紙の世界最大の生産国は中国であり、段ボール原紙でも生産量が世界最大なのである。これは中国が既にアメリカに次ぐ世界第二の経済大国にのし上がっているのであるから、段ボール箱の生産と需要も急成長を遂げていても不思議ではないのである。即ち、段ボール箱の需要の成長の度合いが、その国の経済発展のバロメーターであるという見方がある。
そこで、その箱の需要を賄う段ボール原紙の世界各国の22年度の生産量を紹介していこうと思う。第一は中国である事は既に指摘してあった。(単位:000トン)
1、中国 51,100 △3.0%
2、アメリカ 34,164 △5.5%
3、日本 10,201 △0.7%
4、 ドイツ 9,516 △4.1%
5、インド 6,600 △0.5%
6、 韓国 5,714 △4.5%
7、ブラジル 6,,307 7.4%
8、ロシア 4,418 △4.9%
9、ベトナム 4,061 △1.4%
10、インドネシア3,972 △ 3.1%
となっていて、11位以下はフランス、メキシコ、スペイン、タイ、トルコ、イタリア、台湾、ポーランド、スウエーデン、カナダとなっていた。矢張りというべきか、西側の諸国が多い。
次に、同じく22年度の各国の人口1人当たりの消費量を見ていこう。この数字の方が各国の消費量のバロメーターになると思う。紙類全体の場合と同様に中国は20位には入っていないのが印象的だ。(単位:kg)
1、韓国 104.11
2、スロベニア 95.72
3、アメリカ 87.84
4、ドイツ 84.50
5、台湾 82.11
6、イタリア 78.10
7、リトアニア 78.01
8、スペイン 75.80
9、日本 74.35
10、ポーランド 73.53
となっている。我が国の位置が先進国としては低いのが気になるが、それだけ経済成長も停滞しているという事か。
なお、11以下はチェコ、ニュージーランド、オーストリア、コスタリカ、フィンランド、クロアチア、ベルギー、オーストラリア、フランス、UAEの順となっていた。感覚的には人口が少ない国では消費も少ないという事か。
参考資料:紙業タイムス社刊 Future誌 24年10月7日号
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