英語は平易な言葉を使って:
私は我が国の学校教育で科学としての英語を教え、単語を沢山覚えることに傾き、長ずればTOEICだのTOEFLだの英検だのと試験での成績を重視した結果で、自由に自分の意志を英語で表現できないようになってしまうことを批判はするが、全面的に否定しようとまでは言わない。それが我が国の教育法であるのだから。
私は昨年の新型コロナウイルスの感染が始まった頃に、尾身茂専門家会議副座長が「オーバーシュート」と言われた瞬間には何を言われたいのかを想像は出来たが、浅学非才にして“overshoot”という言葉は知らなかった。
そこで、アメリカの昔の上司と同僚や知人たちに尋ねて、尾身氏が言葉を誤用されていたと知り得た。何故彼があのように使われたかは知り得ようがない。“overshoot”とは「ある一定の目標値を設定しておいた際に、その線を越えてしまったこと」を意味しているのだと知った。「感染者の急増」などという意味はない。だが、この言葉は権威者の尾身氏が使われたために、瞬く間に全国に広まった。小池都知事も重用された。
小池都知事が好んで使われる英語の表現の殆どは、在職中にそういう言葉があるとは承知していたが、アメリカのビジネスパーソンたちが使ったのを聞いたこともなかった文語的な「堅苦しい言葉」であり、日常的な会話の中では滅多に使われることがない言葉であり、専門語の類いなのだ。
そこで、覚えて置かれると便利な簡単な日常的に使える表現を採り上げてみよう。嘗て、私が個人指導した商社の若手の精鋭に「なんでそんなに難しいことを、簡単な言葉ばかり使って言えるんですか」と言われたことがあった。話し言葉とはそういう性質であるとご承知願いたい。
基本的であり重要なことは「平易な言葉を使っていいたいことを簡潔に表現できるようになる」のが肝腎なのだ。しかも、英語という言語には「有無相通じる」とか「以心伝心」のように「言わなくても解ってくれるだろう」という事がないので、言いたい事を省略せずに念入りに表現しておかねばならないことも忘れてはならない。
普通には社内の報告書でも堅苦しい文語(big wordの類い)は使わないものなのだ。だからこそ、私は「コラボレーション」という言葉をテレビ局だったか専門家だったかが使い出した時には驚かされたものだった。お恥ずかしながら、そういう言葉があると承知していた程度で、日常的には使わないのだから。その時にも述べたことで、私には“collaborate”よりも“work together with 誰それ”しか思い浮かばないのだ。
以下に思いつくままに「覚えておくと、何時かは役に立つ平易な表現」を採り上げておこう。
“Make it two.”
解説)前後の関係が解らないと意味が取れない表現だ。これはレストランなどで注文するときにウエイターかウエイトレスに「前の人と同じものを頼む」という意味で使う。3人目の人は“Make it three.”と言えば良いことになる。日本から来られたお客様たちがメニューと格闘されているときに、私が先頭を切って何か注文すると、ほとんど全員が私に「同じものを頼んでください」となってしまったことが屡々あった。それで、ある時商社の若手に「せめて“Make it two, please.”くらい言いなさい」と教えた表現。因みに、アメリカのレストランでは、メニューを誰かが見ている限り、注文を取りには来ないのだ。
“He is gone for the day.”
解説)COVID-19の襲来のために「リモート」の時代になったのだから、最早必要がない表現かも知れない。電話をしてみたら「彼は本日は帰宅しました」をこのように言われてしまった。「折角、電話をしたのに不在か」と嘆かせられたので覚えた言い方。「早退」は“early leave”と言われた記憶がある。“He took an early leave, today.”辺りかな。
“Let me leave the matter up to you.”
解説)「この件は貴方にお任せします。」という意味。もう少し丁寧に言いたければ、“May I leave the matter up to your capable hands?”などと気取った表現もある。確認して置くが、難しい単語を一つも使わずに言えている点が特徴だ。こういう表現は繰り返し音読して覚えてしまう以外に、自分で使えるようにする方法はないと思っている。
“It’s up to you.”
解説)これは「貴方次第です。お任せします」という意味で使う。換言すれば「貴方が決めて下さい」と相手に下駄を預けてしまうことだ。「貴方次第です」をどう言えば良いのかと考えると、かなり難しい英作文になってしまうだろう。だからこそ、私は音読・暗記・暗唱を強力に推薦してきたのだ。
“You are the last person whom I expected to meet here, this afternoon.”
解説)ここでは“last”の使い方が要点である。「今日の午後に、まさか貴方にここで会うとは思ってもいなかった」という意味である。英語と日本語の発想の違いが非常に良く現れている。“It was the very last thing I wanted to happen to me.“のように言えば「そんなことが私の身に降りかかってくれとは先ず予期していなかった」という意味になるか。
“Let’s have a bite to eat.”
解説)俗語的な表現。何のことかと思わせるが「食事に行こうぜ」という表現で、極めてざっくばらんな語りかけ方。“Let’s have a bite.“だけでも十分に通じる。言うまでもないが“bite”は「噛む」という意味だが、名詞では「軽い食事」とジーニアス英和に出ている。
“Make two checks, please.”
解説)これは2人で食事に行って「割り勘」にするときに、ウエイターに予め告げておく表現。即ち、「勘定書きは別々にしてください」という意味。黙っていると伝票は1枚になってしまうのだ。“Make separate checks.”でも意味を為すと思う。念の為に確認しておくと、伝票を持って会計係に支払いに行く習慣は、アメリカではテーブル毎に担当のウエイターかウエイトレスに支払うのだ。私はこれはチップ制(tip)だからだと解釈している。
上記は昨年5月に掲載したものを加筆訂正してある。
私は我が国の学校教育で科学としての英語を教え、単語を沢山覚えることに傾き、長ずればTOEICだのTOEFLだの英検だのと試験での成績を重視した結果で、自由に自分の意志を英語で表現できないようになってしまうことを批判はするが、全面的に否定しようとまでは言わない。それが我が国の教育法であるのだから。
私は昨年の新型コロナウイルスの感染が始まった頃に、尾身茂専門家会議副座長が「オーバーシュート」と言われた瞬間には何を言われたいのかを想像は出来たが、浅学非才にして“overshoot”という言葉は知らなかった。
そこで、アメリカの昔の上司と同僚や知人たちに尋ねて、尾身氏が言葉を誤用されていたと知り得た。何故彼があのように使われたかは知り得ようがない。“overshoot”とは「ある一定の目標値を設定しておいた際に、その線を越えてしまったこと」を意味しているのだと知った。「感染者の急増」などという意味はない。だが、この言葉は権威者の尾身氏が使われたために、瞬く間に全国に広まった。小池都知事も重用された。
小池都知事が好んで使われる英語の表現の殆どは、在職中にそういう言葉があるとは承知していたが、アメリカのビジネスパーソンたちが使ったのを聞いたこともなかった文語的な「堅苦しい言葉」であり、日常的な会話の中では滅多に使われることがない言葉であり、専門語の類いなのだ。
そこで、覚えて置かれると便利な簡単な日常的に使える表現を採り上げてみよう。嘗て、私が個人指導した商社の若手の精鋭に「なんでそんなに難しいことを、簡単な言葉ばかり使って言えるんですか」と言われたことがあった。話し言葉とはそういう性質であるとご承知願いたい。
基本的であり重要なことは「平易な言葉を使っていいたいことを簡潔に表現できるようになる」のが肝腎なのだ。しかも、英語という言語には「有無相通じる」とか「以心伝心」のように「言わなくても解ってくれるだろう」という事がないので、言いたい事を省略せずに念入りに表現しておかねばならないことも忘れてはならない。
普通には社内の報告書でも堅苦しい文語(big wordの類い)は使わないものなのだ。だからこそ、私は「コラボレーション」という言葉をテレビ局だったか専門家だったかが使い出した時には驚かされたものだった。お恥ずかしながら、そういう言葉があると承知していた程度で、日常的には使わないのだから。その時にも述べたことで、私には“collaborate”よりも“work together with 誰それ”しか思い浮かばないのだ。
以下に思いつくままに「覚えておくと、何時かは役に立つ平易な表現」を採り上げておこう。
“Make it two.”
解説)前後の関係が解らないと意味が取れない表現だ。これはレストランなどで注文するときにウエイターかウエイトレスに「前の人と同じものを頼む」という意味で使う。3人目の人は“Make it three.”と言えば良いことになる。日本から来られたお客様たちがメニューと格闘されているときに、私が先頭を切って何か注文すると、ほとんど全員が私に「同じものを頼んでください」となってしまったことが屡々あった。それで、ある時商社の若手に「せめて“Make it two, please.”くらい言いなさい」と教えた表現。因みに、アメリカのレストランでは、メニューを誰かが見ている限り、注文を取りには来ないのだ。
“He is gone for the day.”
解説)COVID-19の襲来のために「リモート」の時代になったのだから、最早必要がない表現かも知れない。電話をしてみたら「彼は本日は帰宅しました」をこのように言われてしまった。「折角、電話をしたのに不在か」と嘆かせられたので覚えた言い方。「早退」は“early leave”と言われた記憶がある。“He took an early leave, today.”辺りかな。
“Let me leave the matter up to you.”
解説)「この件は貴方にお任せします。」という意味。もう少し丁寧に言いたければ、“May I leave the matter up to your capable hands?”などと気取った表現もある。確認して置くが、難しい単語を一つも使わずに言えている点が特徴だ。こういう表現は繰り返し音読して覚えてしまう以外に、自分で使えるようにする方法はないと思っている。
“It’s up to you.”
解説)これは「貴方次第です。お任せします」という意味で使う。換言すれば「貴方が決めて下さい」と相手に下駄を預けてしまうことだ。「貴方次第です」をどう言えば良いのかと考えると、かなり難しい英作文になってしまうだろう。だからこそ、私は音読・暗記・暗唱を強力に推薦してきたのだ。
“You are the last person whom I expected to meet here, this afternoon.”
解説)ここでは“last”の使い方が要点である。「今日の午後に、まさか貴方にここで会うとは思ってもいなかった」という意味である。英語と日本語の発想の違いが非常に良く現れている。“It was the very last thing I wanted to happen to me.“のように言えば「そんなことが私の身に降りかかってくれとは先ず予期していなかった」という意味になるか。
“Let’s have a bite to eat.”
解説)俗語的な表現。何のことかと思わせるが「食事に行こうぜ」という表現で、極めてざっくばらんな語りかけ方。“Let’s have a bite.“だけでも十分に通じる。言うまでもないが“bite”は「噛む」という意味だが、名詞では「軽い食事」とジーニアス英和に出ている。
“Make two checks, please.”
解説)これは2人で食事に行って「割り勘」にするときに、ウエイターに予め告げておく表現。即ち、「勘定書きは別々にしてください」という意味。黙っていると伝票は1枚になってしまうのだ。“Make separate checks.”でも意味を為すと思う。念の為に確認しておくと、伝票を持って会計係に支払いに行く習慣は、アメリカではテーブル毎に担当のウエイターかウエイトレスに支払うのだ。私はこれはチップ制(tip)だからだと解釈している。
上記は昨年5月に掲載したものを加筆訂正してある。
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