カタカナ語にみられる英語の誤った解釈と使い方:
カタカナ語にされた英語の単語(表現でも良いかも)の中には、元の意味を恣意的に乃至は誤って解釈してしまった例が数多く見受けられる。今回の狙いは、そういう例をいくつか挙げて「英語として使えば通用しない」と言うところにある。
ボリューム(=volume):
解説)
これを取り上げるのには悩んだ。“volume”というは英単語の本来の意味は「分量ではなく容積を表している」のだが、今や完全に「量が多い」という意味のカタカナ語として定着しているのだから。Oxford English Dictionaryにも“the amount of space that an object or a substance fills”とある。明らかに分量のことではない。それにも拘らず、カタカナ語では「この海鮮丼はボリュームがある」のように「沢山」であることを示すときに使われてしまっている。
長年、「ボリュームは」は言葉の誤用であると思っていた。そこで、AIに「誤りではないか」と尋ねてみた。その答えは以下のようになっていて、誤用だと指摘していた。カタカナ語にはこのような勝手な解釈が多いのは問題であろう。
>引用開始
おっしゃる通り、英語の「volume」は基本的に「容積」や「体積」を意味します。しかし、日本語のカタカナ語として使われる「ボリューム」には少し違う意味が加わっています。日本では、特に食べ物や体の一部などについて「ボリュームがある」という表現が使われると、「量が多い」とか「ボリューミー」という意味で使われることが多いんです。
これは英語の「volume」から派生したもので、直接的には誤解された使い方ではなく、文化的な違いや言語の進化によって独自のニュアンスが加わったものと考えられます。他にもカタカナ語では、元の英語の意味とは異なる使われ方をする言葉がたくさんありますね。これも一つの言語の面白さだと思います!
<引用終わる
ハードルが高い:
解説)
言うまでもないことで「ハードル」即ち、hurdleとは「障害物か困難」のことであり、動詞では「障害や困難なことを跳び越す、乗り越える」という意味だ。近頃は、閣僚も国会議員も猫も杓子も「ハードルが高い」のような言い方をするのはおかしいのではないかと思っている。陸上競技のハードルには高い・低いはないし、3,000m障害では水たまりもあるのだと思うのだが。水たまりに高低はあるまい。
本来はこのようなカタカナ語ではなく、日本語で以下のように言うべきだと固く信じている。カタカナ語にすれば何か知的でスマートに見えるとか恰好が良く見えるとでも思っているようなのが情けない。以下に並べるような意味で使って欲しい。
問題が高度すぎて回答できないさまで「解けない」、「答えが出ない」、「回答をお目にかけることができない」、「難解な」、「難しい」、「自分には難しすぎる」、「難易度が高い」、「レベルが高い」等々のように。
キャリースケース(またはバッグ):
解説)
英語での言い方は“trolley case”(カタカナにすれば「トローリーケース」)なのである。先日も、某テレビ局が「収納が便利なキャリーケース」を紹介していたのには、あらためて困ったことだと残念に思った。私の推理では「持ち運ばずに引っ張って歩けるから“carry”という単語を思いついたのだろう」となる。
ジーニアス英和辞典にもcarryは「人が人・物を運ぶ」と記載されているが「主語・目的語ともに移動する」となっている。だが、理屈を言えば「キャリーケース」としたのでは言葉の順序が逆だし、主語が抜けている。「ヒーローインタビュー」と同じような形だ。
Oxfordには“trolley”とは「小型で車がついたケースで押すか引くかして物を運ぶこと」とある。だからこそ、アメリカでは”trolley case“となったのではないか。
思い起こせば、私が頻繁にアメリカ出張をしていた1990年代初期までには、“trolley case”のような便利なものはなかったと思う。往年は重たいスーツケースに加えて、洋服から靴まで収納できるガーメントバッグとブリーフケースの3点セットを四苦八苦して抱え込んで、空港まで出掛けていたものだった。それらを何の苦も無く持っているかのように振る舞うのが旅慣れた証拠だった。
今や、あの古き良き時代のスーツケースを抱えておられる旅行者などは全く見かけないのだ。私はあの「ケース」を「ガラガラ」と呼んでいるが、何処のどなたが英語として意味を為さないような「キャリーケース」などと命名したのかと不思議に思っている。命名した人(企業?)は我が国にはかつて「トローリーバス」という電線に結ばれて走っていたバスがあったことなど眼中になかったようだ。
もし、この言葉を創造した人が一手間かけて、アメリカでは何と呼ばれているのかを検索すればtrolley caseだったと解って、「キャリーケース」とは命名しなかっただろうと思うのだが、如何なものか。
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