新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

7月21日の「報道1930」より

2020-07-22 10:33:27 | コラム
国民民主党・大塚耕平氏が指摘した検疫体勢の不備:

非常に聞き所が多い1時間半ほどだった。大塚氏が成田空港の検疫体勢の不備を指摘しただけでもかなり驚かされたが、それ以外に成田には110ヶ国からの入国制限(禁止?)であるにも拘わらず、4月以降6万2千人も入国していると言われたのは、大袈裟に言えば驚愕的だった。尤も、その入国者の70%が航空会社のクルーだったとの注釈はついたが、1万8千人ほどは海外から帰国された日本人も含めて一般の外国人が入っていたというのだ。中には留学ヴィザを持つ外国人もいるとの解説まであった。「何をやっているのか」と怒鳴りたくなった。

だが、問題はこんな所では終わっていなかった。成田では全力を挙げて入国者にPCR検査を課しているのだが、その結果が判明するまでの6時間ほど(?)の為の待合室が準備されていないのだそうだ。流されたビデオでは、フィリピンから帰国された日本人男性が喫煙したいと言えば「一般人用」の喫煙室に案内され、フィリピン・ペソを両替したいと言えば、矢張り一般客用の両替の窓口に「蜜」の状態で並んだそうだ。しかも、この人物は陽性だったと判明したそうだ。中には待ちきれずに家族4人が富山に向かい陽性だった為に、現地感染者を出したという話も報じられた。

正直なところ驚き呆れた。ところが大塚氏は冷静で「新型コロナウイルスの感染を経験するのは今回が初めての事で、成田ではそれに備えて大量のPCR検査をする用意は整っておらず、待ち時間を費やす部屋の準備もされていないのだから、現在では仕方があるまい。故に、早急に要員の増強等を整えるべきだが、そのような危険を伴う職務においそれと応じてくれる組織も個人も少ないのが現状だ」と言うのだ。尤もだと聞こえた。だが、困った話だと思って聞いた。

私は成田空港から何百回(?)も出入国しているが、検疫で止められたことなどなかったし、検疫の設備があるなどと考えたこともなかった。世界の多くの空港でも検疫を厳しくというか細かくやられた経験もなかったと思う。そうであれば、成田空港の検疫体勢は整っていても、待合室まで準備されていなかったとしても、責めるのは酷だと思う。現に空港の検疫所長さんは「現在で完全に手一杯で、これ以上入国者が増えれば到底対応しかねる」と苦しさを訴えておられた。切実な問題だろうと思う。現に、政府は中国や韓国からの入国者を増やすなどと言っているのだから。

大塚氏がもう一つ採り上げた「本末転倒」と言って指摘された問題があった。それは、加藤勝信厚労相が「何れ入国者を1万人々に増やす予定なので、それに見合うように検疫体勢を整えて行く」との談話を発表したことに対して呈した疑問だった。即ち、「話が反対で、検疫の設備と態勢が整った後から、入国者をの増加を図るのが筋だ」と強調し、同じくゲストでその場に居た若宮健嗣外務副大臣(何と前夜のPrime Newsにも出ていた)に「担当違いだが党内に持ち帰って十分に審議するようお伝え願いたい事案だ」と突っ込んだのだった。「よくぞ言って下さいました」だった。

私は仮令野党であっても、昨夜の大塚耕平氏の主張は支持したい。確かに政府としては私には何のことか具体的には解らない「経済を回し」、「インバウンド」とやらを盛り立てたいのは解らないでもない。だが、その為に所謂「水際」である成田空港の検疫体勢を疎かにしておいて良いのではないのは明らかである。何か重大なことを試みようとするならば、関連する方面に十分の目配りをして体勢に万が一にも遺漏なきを期するべきではないか。実務に長けた者を起用して態勢を整えるのが先決問題ではないのか。

空港から感染者を漏らしてしまうような空港の管理と監視体勢でどうするのか。だから、私は「政治しか知らない者たちに任せてはおけないのだと言いたくなってしまうのだ」と呟きながら、大塚耕平氏の主張を聞いていた。遺憾ながら若宮健嗣外務副大臣は言葉遣いの丁寧さだけが目立ってしまう結果で、大塚氏に終始圧されていた。空港の検疫体勢は何処のお役所の管轄か知らないが、立て直しは焦眉の急だろう。



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