座ったままで他国の首脳の挨拶を受けて:
私は石破首相がAPECに参加される前に「外国に不慣れなのでは?」と不安を表明してあった。果たせるかな、会議が始まる前にカナダのトルドー首相とマレーシアのアンワル首相が挨拶に立ち寄られて際に、座ったままの姿勢で握手をしておられる画が流された。それについて宮家邦彦氏は「決して非礼ではない」と論評しておられたのを聞いて「そう言うものなのかな」と半分納得していた。
だが、所謂世論では「怪しからん」という非難が多かった。これに対して、元アメリカ大使の杉山晋輔氏は「石破首相はプロトコル(外交儀礼)から外れたことはやっていない。首脳が数十人集まる会議の前には、初めて会う首脳の席に挨拶が殺到するもので、座ったまま挨拶しただけで相手国の心証が悪くなるとは考えられない」と擁護されたし、官邸筋も「問題なし」と表明していた。
あの座ったままの姿勢で握手をしている態度は、私には「恰も上役が部下からの挨拶を受けているように見えるが、我が国はそれほど格が上だとでも認識しておられるのかな」と感じさせられた。即ち、懸念したように「石破首相は外国と外国人との接し方に不慣れで、立ち上げるべきだと気が付かなかったのは宜しくない」と批判的に見ていた。
だが、普通に常識で考えれば「立ち上がってお辞儀をすべき場面」ではないのだろうか。握手をする前に「一寸お待ちを」と言えば済む事態ではなかろうか。それを英語で言えないというのならば、日本語で言っても、先方様は感じ取って下さったのではないかとすら感じる。今や英語は国際語なのだから”Wait a second, please.”くらいは一国の総理大臣ならば言って欲しかった。
あの場面の画には通訳やお付きの人がいるように見えなかったが、外務省の儀典(と言うのかな)の担当の方は、石破首相が外国に不慣れだという事くらいは読めていなかったのだろうか。岸田前総理は長く外務大臣を経験しておられたし、英語の力もお持ちだったので外交をそつなくこなしておられたのだから、事前にレクチャを受けておかれたら良かったのではなかろうかなどと考えた。
外国、それもアメリカやヨーロッパの人たちが多い場に出ていくことは、それでなくとも緊張を強いられるものだ。そのような場ではただ単に英語が話せるだけでは如何ともしがたい西欧風の礼儀作法があるのだ。杉山元大使は「プロトコル」(=外交の礼儀、仕来り)と言う言葉を使っておられた。事前の進講は外務省の責務でもあるかも知れないが、首相はその点を心得て参加されるべきだったのではないか。
私は最も重要なことは「国際場裏に文化や言語の違いに怖れることなく毅然たる態度で、臆することなく他国の首脳や要人に堂々と接していく度胸が必要だ」と思う。だからと言って「やーやー」と言わんばかりの表情で、座位のままで対応されたのは毅然とし過ぎで、決して褒められたことではないと思えてならない。石破首相はこれに懲りて、次回は上手くやって下さると期待しておこう。
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