筆者だけの関心事なのかも知れないニュース:
世界最大の製紙・製缶会社が誕生。最新の紙業タイムス社刊行のFUTUREに私だけかと思うが「恐ろしいばかりの時代の流れかな」と感じさせられる世界の業界再編成関連の記事があった。
それは、アイルランドに本拠を置くスマーフィットカッパ(Smurfit Kappa)が、アメリカのウエストロック(West-Rock)を買収して世界最大の製紙・製函会社「スマーフィット・ウエストロック」(Smurfit WestRock)が誕生するという内容だった。新会社の売上高は340億ドルというから(為替次第だが)何と5兆円企業になるのだ。勿論、断然たる世界最大の製紙・製函企業である。
新会社が大きいことには当然関心はあるが、私の最大の関心事は「時代の流れがもたらした変化には凄まじいものがあるな」なのだ。それは、新会社は印刷用紙であるとか印刷媒体関連の紙を作るのではなく、近年その需要が目覚ましく伸びている包装材料の段ボール箱関連の企業だという点にあるのだ。
アメリカ市場では2000年代に入ってからは、ICT化とディジタル化の波に圧倒されて、印刷媒体はその需要をインターネットに奪われていた。そこで、我が社は2005年から、世界最大だったインターナショナルペーパーが2007年から印刷用紙から撤退を開始していた。そこに加えるに、アマゾンが代表したような通販の時代がやってきて包装材料の段ボール箱の需要が急成長しその流れが止まらない。
即ち、製紙産業界においては段ボール原紙と凾が一大成長品種となって、多くの印刷用紙や新聞用紙のメーカーが、製品を包装材料である段ボール原紙等に転換し始めた。現時点では、これ以外の成長品種が衛生用紙であり、ティシュペーパー、トイレットペーパー、タオルペーパー等の市場拡大と需要の安定的成長が続いている。
当方は業界から離れて既に30年が経過したが、この需要構造の変化には目を見張らせられていると同時に、印刷用紙が全盛だった古き良き時代を一人静かに振り返っては、今昔の感にとらわれている。そこに、この度は世界最大の段ボール原紙と製函の企業誕生のニュースである。時の流れと変化(と通販)は、最早誰にも押し止められない次元に達したと痛感させられている。
昨日から「往年のインターナショナルペーパーですら売上高が円貨換算で3兆円を超えたことがなかったのに、新会社は5兆円に迫るとは」と、時の流れに驚き且つ感嘆しているところ。この流れは遅かれ早かれ我が国に及んでくるだろうから、何時の日か段ボール原紙と製函の専門会社であるレンゴーが、王子も日本も追い抜くときが来るのかもと感じさせられている。
参考資料:紙業タイムス社刊行 FUTURE誌 23年10月23日号