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米中 憲法見直しを日本に促す(1)

2013-07-12 | ラジオ
日本は中国政府を、武力を行使し両国の海上の国境を変更するリスクを冒そうとしていると非難した。これは9日、防衛省が安倍首相に提出した、今年度の防衛白書の中で述べられているものだ。
そうした条件下では憲法の見直しや、自衛隊の完全な軍隊化をめぐって議論が先鋭化するのも当然だと思う。しかし日本は近く、憲法だけではなく、どの国が同盟国なのか、あるいは潜在的敵国なのかという、自らの考えを早急に見直す必要に迫られるかもしれない。
この間の土曜日、日曜日、安倍首相はNHKテレビの番組に出演し、主要政党の代表らと論争した。その際、テーマの一つとして取り上げられたのが、2012年、昨年、自由民主党が行った、自衛隊を日本の軍隊、日本国軍に名称を変更したらどうかといった提案だった。
現在、自衛隊は二つの点で、完全な軍隊とは区別されている。第一に自衛隊は、空母や長距離弾道ミサイル、戦略爆撃機といった攻撃兵器を持ってはいない。
とはいえ、その工業的な高い水準、また科学水準から言えば、日本は核も含めた、そうした攻撃兵器を大変短期間に持てる事は言うまでもないだろう。そして区別される第二点だが、いかなる目的の為でも、自衛の、国防の枠を超える軍事力の使用を直接禁止する憲法9条の存在だ。

安倍首相が見直したいと思っているのは、他でもないこの憲法第9条だ。見直しとなれば、集団的自衛権を日本は持つようになる。つまり、アメリカなどの同盟国を支援するため、領土領海から離れた遠い地域での戦闘行為に参加できるようになる。
憲法に然るべき修正を加える事については、すでに数年前、アメリカ政府が執拗に求めている。当時アメリカは、アフガニスタンやイラクでの軍事作戦において日本の援助の必要性を痛感していた。
しかし現在だが、状況は変化してしまったようだ。ロシアの著名な日本研究家で日本大使を務めた経験もあるパノフ氏は、アメリカはもう、かつてのように熱く憲法改正に向けた安倍氏のイニシアチブを支持してはいないとし、その理由として領土問題により近隣諸国と、領土問題によって近くの国々との関係が悪化している中で日本に完全な軍隊が出現すれば、アジア太平洋地域の状況は急激に悪化する恐れがあるからだ。このように指摘している。

日本を自らの主要な軍事同盟国に変えるという、アメリカの思惑がしぼむ可能性がある理由は、もう一つある。これは大変重大なもので、つまりアメリカと中国の間の戦略的関係に変化が起こり得るというものだ。
ここ最近、アメリカと中国のライバル関係の深まりは、顕著なものと思われてきた。対立の引き金となったのはBig Twoという米中連合を作ろうという、アメリカの非公式提案を2008年に当時の中国政府が拒否した事だった。これに応えてアメリカ政府は、Return to Asiaという戦略を取り、公然と日本や韓国、オーストラリア、そしてニュージーランドが加わった、いわゆる反中国連合作りを始めた。アメリカは、この連合に中国との領土問題を抱えるインドや東南アジア諸国までも引き込もうと試みた。 
一方、中国だがこの挑戦を受けて立ち、海軍力をまず初めとする軍事力の増強を始めた。しかし現在、中国外務省に近い筋の専門家の間では、原則的に新しい形態の対米関係を築く用意があるとの声が上がっている。
その関係は、かつてのBig Twoを容易に彷彿とさせるものだ。そうした事は、6月にカリフォルニアで行われた米中サミット、つまりオバマ・習会談のあと生じたもので、会談でアメリカと中国の最高首脳が、対立よりも同盟をよしとする結論に達した可能性も十分有得ると見られている。

米中 憲法見直しを日本に促す(2)へ続く

アメリカの新・中国戦略を知らない日本人
クリエーター情報なし
PHP研究所

7月10日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル
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