日本の小泉首相は29日、アメリカのブッシュ大統領との会談の中で、日米
両国の安全保障に関する、新たな文書に署名を行うものと見られている。
これに関連してロシアの声の評論委員は、次のようにコメントしている。
日本のマスコミは今回の小泉・ブッシュ会談が、日米両国の同盟関係が特
別なものであることをアピールすることを目的としているとの見方を示してい
る。
例えば日本経済新聞は、この10年間で初めて軍事部門に関する協定が更
新されると予測している。この状況を巡って日本のマスコミは幾つかの点に
注目している。
アジア・太平洋地域の安定を戻すため、日米の同盟関係の重要性を強調す
るだけでなく、新たな協定では防衛部門での枠組みを、新しくしていくという
見通しが示されていくことだろう。
観測筋が明らかにしている情報によると、日米両政府はアメリカ軍と自衛隊
との合同演習を計画している他、日本の周辺地域における日米間の軍事協
力に付いて、新たな指針を明らかにしている。
しかしこういった指針はアジア・太平洋各国にとって、歓迎すべきものとは思
っていない。なかでも中国はこれに対し、厳しい反応を見せるものと予測して
いる。と言うのも周辺地域の中には台湾海峡も含まれている。中国政府が重
要視している台湾をめぐって、日本とアメリカが軍事的な協力を推し進めるこ
とに対し、中国はそれを非友好的な態度の表れであると受け止め、日米軍事
協力の強化に対する、中国側の懸念を日本が完全に無視していると勧告す
る筈だ。
これに対しては中国が問題としているのが、日本とアメリカの軍事同盟の強
化自体ではなく、それを(?)という事実を指摘しようとしているからだろう。
そもそも日本はアメリカがアジア・太平洋地域での、戦略的な立場を強化しよ
うとしているために生じる、あらゆる紛争問題をめぐって常にアメリカの側に立
っているからである。
さらに日本のマスコミが伝えているように、小泉首相とブッシュ大統領が新た
な防衛協力の中で、アジア・太平洋地域のみならず、世界の他の地域でもア
メリカ軍と自衛隊の協力を推し進めていこうとしていることが事態を、より複雑
なものにしている。
もっとも両者の協力は世界でのテロリズム防止や自然災害、疫病対策などを
目的とする事になっている。つまり表面的には人道的な協力を目指しているわ
けだが、しかしながらアメリカが国際社会の目を誤魔化すため、こうした新たな
脅威への対処を理由として、他の国々に介入を行った例は少なくない。
まさにこのため情報筋では、日米間の新たな防衛協力に関してアメリカが日本
を、自らの世界戦略に引き込もうとしているとの観測が流れている。
※(?)箇所はノイズで聴き取れず
6月29日放送 ロシアの声 ラジオ・ジャーナル
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