ロシアのラブロフ外相はグリーンランドで開催された、北極海沿岸5カ国による
会議に出席したなかで、北極で様々な国の利益が衝突することを懸念する向
きもあるが、ロシアはそのように考えてはいないとの見解を示した。
この会議はロシアのほかカナダ、デンマーク、ノルウェイ、アメリカの北極海沿
岸の5カ国の代表が出席して開かれたもので、5カ国は国際法に基づき、この
地域での協力を行っていく意向を確認した。
この話題に付いてロシアの声の評論委員は、次のようにコメントしている。
グリーンランドで開かれた会議の主な成果は、豊かな燃料資源と鉱物資源の
眠る北極における利権争いは生じないことが確認されたことである。
ラブロフ外相は北極海の沿岸諸国さらには他の地域の国々の利益衝突が、今
後起こるだろうという予想は、多くの点でこじつけであるとの見方を示している。
ラブロフ外相はロシアとパートナー諸国は、北極において衝突するのではなく、
別の方向を目指して行動していくことを選んだと述べた。
これは自らが保有しない何かを求めての競争ではない。
これは紛争を生じさせるのではなく、この地域が協力の地となるよう全力を尽く
すという、北極海沿岸5カ国の双方的な希望なのだ。
今後の活動を行っていくうえでの共通の基盤となるのが、1982年の海洋法条
約をはじめとする国際法であるという点でコンセンサスがあるのは非常に重要
なことだ。
ラブロフ外相はこの様に指摘している。
1982年の海洋法条約は海洋の利用に関する国々の基本的権利と義務を謳い、
国々が、自国の海の上の国境を確定する重要な規則を確立し、海洋における
国際協力の原則を定めているもので、ロシアは特にその条約を重要視してい
る。
ロシアはこの条約を踏まえ北極海での経済、インフラプロジェクトの実現におけ
る安全保障システムの発展に関する提案を提出した。
そして今回のグリーンランドでの会議でも、ロシアは改めてこの提案へパートナ
ー諸国へ注意を向けた。
ロシアはこのなかで石油ガス採掘施設、原子力産業施設の建設や稼動に伴う
人員的リスクを監視し、速やかに対応するシステムを行動で構築することを打ち
出している。
また北極における自然保護活動は天然資源開発が、環境に及ぼす否定的影響
を最小化するための、そして北極圏での貨物輸送を強化するための集団での取
組みの重要な一部であると捉えている。
現在ロシアはこの問題を担当する国連委員会に提出するための、追加的な資料
の収集を終えようとしている。
またこの委員会に対し、シベリアの大陸棚の延長上にある北極の大陸棚をロシア
が開発し使用する権利を申請している。
ロシアはこの方面での活動を最大限透明な形で行っており、グリーンランドでの会
議から判断して北極海沿岸のパートナー諸国も、ロシアと同様のアプローチを行っ
ていく構えであると見られる。
| アイスランド・フェロー諸島・グリーンランド 第3版―
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5月30日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル