2001年9月11日に発生した事件に関与したとして、アメリカで終身刑の
判決を受けたモロッコ系フランス人ザカリア・ムサウイは、あの事件に
は何の関わりも持っておらず、これは2001年9月11日の同時多発テロ
事件でハイジャック犯に指令を出した国際テロリスト、ウサマ・ビン・ラデ
ィンがイスラム系インターネットサイトで表わした声明の中で述べたもの
である。
もしこの声明が本物であるならばウサマ・ビン・ラディンは、再度自らの存
在を誇示してみせたことになる。しかしながらロシアの政治学者は、今回
発表されたウサマ・ビン・ラディンの映像の信憑性に付いて、次のような見
解を述べている。
テロリストと言う者は常にその名が広く知られ、ある者に恐怖を、またある
者には畏敬の念を呼び起こすことを必要している。スポンサーから資金を
獲得し仲間を集め、敵に精神的な圧力をかけるためだ。
またテロリストたちは情報空間の中に、身を置かなければならない存在で
もある。
そこで疑問に思われるのは何故、ウサマ・ビン・ラディンは現在のアフガニ
スタン状勢に付いて発言しないのかとい点だ。最近アフガニスタン南部で
はタリバン勢力の活動が活発化しているばかりでなく、アメリカ軍などの連
合軍に打撃を与えることに成功してさへいる。
それからまた事実上、国が崩壊して内戦状態となりウサマ・ビン・ラディンに
近いグループが勢力を伸ばしている。またイラク状勢に付いてもウサマ・ビ
ン・ラディンが、何も言ってないのは不思議なことだ。
こうしたことを考えると今回ネット上で発表された、ウサマ・ビン・ラディンの
映像は、実はもっと早い段階に撮影されたものではないかと言う可能性も
否定できないとロシアの政治学者は述べている。
ところで今回ウサマ・ビン・ラディンのメッセージが、ネット上で流された時期
は、丁度カタールの首都に数十カ国の外相が集まり、国際会議アジア協力
対話を開いていたときと重なっている。
この会議の目標の一つが、テロ対策を巡る話し合いだった。したがってウサ
マ・ビン・ラディンが主導権を握ろうとして、こうしたアピールを行ったことは明
らかである。インターネット上に流れた映像も、ずっと前に撮られたものが、た
またま使われた物と考えていいだろう。
つまり今回のウサマ・ビン・ラディンの声明は、彼が再度、自分の存在感を示
そうとしただけであり、それ以上のものでは無い筈だ。
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5月25日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル