先週はずっとチリワインを取り上げてきましたが、いよいよシメをしたいと思います。
現在のチリワインを語る際にハズせない生産者が、1993年創業の「コノスル -Cono Sur」です。
コノスルは、ワイナリー経営によくある“ファミリー”や“伝統”といったものを持たず、
Innovation-革新-を追求し続ける、勢いのあるワイナリーです。
輸出量ではチリ第2位
今やチリを代表する生産者のひとつであることは間違いありません。
コノスルのことは何度も取り上げましたし、実際に私もチリのワイナリーを訪問しました。
そのコノスルの新たなプロジェクトのひとつが、瓶内ニ次発酵のスパークリングワインで、
ちょうど先日、コノスルのチーフワインメーカーのアドルフォ・フルタードが来日し、そのスパークリングワインを紹介してくれました。
まだコノスルのセラーで瓶内二次熟成中のものを持ってきたので、ラベルがありません。
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Centinela 2013 Cono Sur(Chile, Casablanca Valley)
カサブランカ・ヴァレーのセンティネッラ畑で育ったシャルドネ100%で、早く収穫したブドウを使います。
瓶内二次発酵は2013年8月から行ない、2016年3月頃にデゴルジュを行ない、4月以降いリリースの予定(瓶内二次を約2年半)だそうですが、実際のリリース時期はアドルフォ次第とのこと。
ガス圧は6気圧ですが、今回は、途中のものを手で処理して日本に持ってきたため、ガス圧が抜け気味かもしれないとアドルフォが言っていました。
飲んでみると、非常にフレッシュで、若々しい状態のエスプリ系。泡は繊細で細かくやや弱め。持続性はまずまずですが、瓶内二次ならではのうまみが足らず、少々単調気味。
まだ熟成途中なので、今後どう熟成し、変化を遂げていくのか、期待したいところです。
日本での発売時期も価格もまったく未定です。
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アドルフォ・フルタード氏(コノスル社チーフワインメーカー)
ちなみに、同じセンティネッラの畑のシャルドネを仕込み、新樽100%で9カ月熟成(マロなし)したワインが、「Cono Sur Barrels Limited Edition Chardonnay 2013」になります。こちらはなめらかで濃密で、カスタードのニュアンスがありますが、酸の支えがしっかりあり、非常によくできています。今からおいしく飲めて、価格もお手頃なので、このワインは超お買い得です。サービス温度は低すぎない方がいいです。
同じ年の同じ畑のシャルドネのワインなのに、収穫時期と醸造過程が違うと、こんなにも違うワインになるのが面白いですよね。
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左から2番目のボトルが 「Barrels Limited Edition Chardonnay 2013」
※コノスルの既存スパークリングワインについては以前の記事を参照ください → コチラ
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今回は、コノスルのピノ・ノワールの最高峰「オシオ -Osio」と、昨年発表したカベルネの新ワイン「シレンシオ -Silencio」の最新ヴィンテージのお披露目もありました。
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「Osio」は 2012年(グラス右)と2013年(グラス左)を飲み比べました
オシオのファーストヴィンテージ2002年の頃と比べると、10年が経過し、だいぶ変化していると感じました。
特に最新の2013年はキレイな果実味が絶妙に凝縮し、フレッシュな酸、エレガントなタンニンとともに、バランスの良さが際立ちます。外観も紫が濃く、若々しさがあります。
好みが分かれると思いますが、私は2013年が素晴らしいと思います。2013年は若干涼しい年です。カサブランカ・ヴァレーのブドウを85%、サンアントニオ・ヴァレーのブドウを15%ブレンドしています。
年のキャラクターもあるかもしれませんが、ブドウが樹齢を重ねてきていること、栽培技術も醸造技術もより進化していることの表れだと思います。
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「Silencio」は ファーストヴィンテージの2010年と最新の2011年を飲み比べました
シレンシオも新しいヴィンテージの方が非常にいい出来だと感じました。
2010年はアロマが豊かで、なめらかで凝縮感もあり、熟成が進んできているのを感じます。
2011年はスパイシー感があり、煙っぽさがりますが、味わいがとてもキレイで、ふわっとしたやわらかさがあり、とてもユニーク。より果実味がイキイキとし、表現力が豊かになっているのを感じます。なお、2011年は、プエント・アルトのカベルネ・ソーヴィニヨンを98%、カルメネールを2%ブレンドしています。
※「シレンシオ 2010」については、初登場時の記事を参照ください → コチラ
安定したおいしさとコスパの良さが魅力のコノスルですが、同社のトップワインである「Osio」と「Silencio」のクオリティは、これから先もどんどんアップしていくであろうことは、間違いないと感じました。
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最後に、アドルフォから聞いたコノスルの新しい試みを二つ紹介します。
1)エルエンカンテ・エステートの展開
北東部にある標高1100mのサンフェリペの畑100haで、4年前に黒ブドウのみ13種(カベルネ・ソーヴィニヨン、マルベック、カルメネール、プティ・ヴェルド、グルナッシュ、カリニャン、アリカンテ、カベルネ・フランなど)を植樹。
アコンカグアの中でも周りに何もない場所。暖かい土地で、夏の昼間は37、38℃にもなるが、夜は11、12℃まで下がり、昼夜の気温差が大きいのが特徴。
「気温の日較差が大きいと、果実の凝縮度が高まり、色もよく出る。非常にポテンシャルの高い畑だと期待している」とアドルフォの談。
まだ樹齢が若く、グルナッシュやカリニャンなどは樹齢が若いといいブドウが得られないが、すでにいい成果がでているようです。
現在、これらサンフェリペの若木のブドウは、コノスルのバラエタルシリーズのワインにブレンドされていますが、樹齢が上がってきたら、シングルヴィンヤードも視野に入れているようです。
「コノスルのこれまでのワインは単一品種で仕込むモノセパージュ主体だが、ブレンドワインをつくっても面白いかもしれない」と、アドルフォ。
コノスルの成功の理由は、上質で分かりやすいモノセパージュワインを魅力的な価格で販売してきたことだと思います。よって、ブレンドするなら、ユニークな組み合わせを期待したいところです。
13品種で思い浮かべたのは、フランスはローヌのシャトーヌフ・デュ・パープ。このワインには最大13種の指定ブドウの使用が認められています。
サンフェリペ畑の13種の黒ブドウは、シャトーヌフ・デュ・パープのブドウとは完全に一致していませんが、シャトーヌフ的なブレンドワインをつくるとしたら面白そうです。
2)新しいピノ・ノワールの畑
太平洋から4kmという海岸近くにあるサントドミンゴ(サンアントニオ・ヴァレー)に15haの畑を拓き、ピノ・ノワールのみを植樹しました。
ピノ・ノワールの各クローンを植えています。
どちらのプロジェクトも、他にブドウ畑がないような極端な場所を選んで畑を購入していますが、こうした試みが面白いのだとアルドフォは言います。
また、畑だけではなく、ワイナリーの方にも新たな投資を行ない、拡張(400万本分)を行なっています。
オーガニック栽培も80haとなりました。
勢いありますね、コノスル!
(輸入元:株式会社スマイル)
現在のチリワインを語る際にハズせない生産者が、1993年創業の「コノスル -Cono Sur」です。
コノスルは、ワイナリー経営によくある“ファミリー”や“伝統”といったものを持たず、
Innovation-革新-を追求し続ける、勢いのあるワイナリーです。
輸出量ではチリ第2位
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今やチリを代表する生産者のひとつであることは間違いありません。
コノスルのことは何度も取り上げましたし、実際に私もチリのワイナリーを訪問しました。
そのコノスルの新たなプロジェクトのひとつが、瓶内ニ次発酵のスパークリングワインで、
ちょうど先日、コノスルのチーフワインメーカーのアドルフォ・フルタードが来日し、そのスパークリングワインを紹介してくれました。
まだコノスルのセラーで瓶内二次熟成中のものを持ってきたので、ラベルがありません。
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Centinela 2013 Cono Sur(Chile, Casablanca Valley)
カサブランカ・ヴァレーのセンティネッラ畑で育ったシャルドネ100%で、早く収穫したブドウを使います。
瓶内二次発酵は2013年8月から行ない、2016年3月頃にデゴルジュを行ない、4月以降いリリースの予定(瓶内二次を約2年半)だそうですが、実際のリリース時期はアドルフォ次第とのこと。
ガス圧は6気圧ですが、今回は、途中のものを手で処理して日本に持ってきたため、ガス圧が抜け気味かもしれないとアドルフォが言っていました。
飲んでみると、非常にフレッシュで、若々しい状態のエスプリ系。泡は繊細で細かくやや弱め。持続性はまずまずですが、瓶内二次ならではのうまみが足らず、少々単調気味。
まだ熟成途中なので、今後どう熟成し、変化を遂げていくのか、期待したいところです。
日本での発売時期も価格もまったく未定です。
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アドルフォ・フルタード氏(コノスル社チーフワインメーカー)
ちなみに、同じセンティネッラの畑のシャルドネを仕込み、新樽100%で9カ月熟成(マロなし)したワインが、「Cono Sur Barrels Limited Edition Chardonnay 2013」になります。こちらはなめらかで濃密で、カスタードのニュアンスがありますが、酸の支えがしっかりあり、非常によくできています。今からおいしく飲めて、価格もお手頃なので、このワインは超お買い得です。サービス温度は低すぎない方がいいです。
同じ年の同じ畑のシャルドネのワインなのに、収穫時期と醸造過程が違うと、こんなにも違うワインになるのが面白いですよね。
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左から2番目のボトルが 「Barrels Limited Edition Chardonnay 2013」
※コノスルの既存スパークリングワインについては以前の記事を参照ください → コチラ
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今回は、コノスルのピノ・ノワールの最高峰「オシオ -Osio」と、昨年発表したカベルネの新ワイン「シレンシオ -Silencio」の最新ヴィンテージのお披露目もありました。
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「Osio」は 2012年(グラス右)と2013年(グラス左)を飲み比べました
オシオのファーストヴィンテージ2002年の頃と比べると、10年が経過し、だいぶ変化していると感じました。
特に最新の2013年はキレイな果実味が絶妙に凝縮し、フレッシュな酸、エレガントなタンニンとともに、バランスの良さが際立ちます。外観も紫が濃く、若々しさがあります。
好みが分かれると思いますが、私は2013年が素晴らしいと思います。2013年は若干涼しい年です。カサブランカ・ヴァレーのブドウを85%、サンアントニオ・ヴァレーのブドウを15%ブレンドしています。
年のキャラクターもあるかもしれませんが、ブドウが樹齢を重ねてきていること、栽培技術も醸造技術もより進化していることの表れだと思います。
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「Silencio」は ファーストヴィンテージの2010年と最新の2011年を飲み比べました
シレンシオも新しいヴィンテージの方が非常にいい出来だと感じました。
2010年はアロマが豊かで、なめらかで凝縮感もあり、熟成が進んできているのを感じます。
2011年はスパイシー感があり、煙っぽさがりますが、味わいがとてもキレイで、ふわっとしたやわらかさがあり、とてもユニーク。より果実味がイキイキとし、表現力が豊かになっているのを感じます。なお、2011年は、プエント・アルトのカベルネ・ソーヴィニヨンを98%、カルメネールを2%ブレンドしています。
※「シレンシオ 2010」については、初登場時の記事を参照ください → コチラ
安定したおいしさとコスパの良さが魅力のコノスルですが、同社のトップワインである「Osio」と「Silencio」のクオリティは、これから先もどんどんアップしていくであろうことは、間違いないと感じました。
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最後に、アドルフォから聞いたコノスルの新しい試みを二つ紹介します。
1)エルエンカンテ・エステートの展開
北東部にある標高1100mのサンフェリペの畑100haで、4年前に黒ブドウのみ13種(カベルネ・ソーヴィニヨン、マルベック、カルメネール、プティ・ヴェルド、グルナッシュ、カリニャン、アリカンテ、カベルネ・フランなど)を植樹。
アコンカグアの中でも周りに何もない場所。暖かい土地で、夏の昼間は37、38℃にもなるが、夜は11、12℃まで下がり、昼夜の気温差が大きいのが特徴。
「気温の日較差が大きいと、果実の凝縮度が高まり、色もよく出る。非常にポテンシャルの高い畑だと期待している」とアドルフォの談。
まだ樹齢が若く、グルナッシュやカリニャンなどは樹齢が若いといいブドウが得られないが、すでにいい成果がでているようです。
現在、これらサンフェリペの若木のブドウは、コノスルのバラエタルシリーズのワインにブレンドされていますが、樹齢が上がってきたら、シングルヴィンヤードも視野に入れているようです。
「コノスルのこれまでのワインは単一品種で仕込むモノセパージュ主体だが、ブレンドワインをつくっても面白いかもしれない」と、アドルフォ。
コノスルの成功の理由は、上質で分かりやすいモノセパージュワインを魅力的な価格で販売してきたことだと思います。よって、ブレンドするなら、ユニークな組み合わせを期待したいところです。
13品種で思い浮かべたのは、フランスはローヌのシャトーヌフ・デュ・パープ。このワインには最大13種の指定ブドウの使用が認められています。
サンフェリペ畑の13種の黒ブドウは、シャトーヌフ・デュ・パープのブドウとは完全に一致していませんが、シャトーヌフ的なブレンドワインをつくるとしたら面白そうです。
2)新しいピノ・ノワールの畑
太平洋から4kmという海岸近くにあるサントドミンゴ(サンアントニオ・ヴァレー)に15haの畑を拓き、ピノ・ノワールのみを植樹しました。
ピノ・ノワールの各クローンを植えています。
どちらのプロジェクトも、他にブドウ畑がないような極端な場所を選んで畑を購入していますが、こうした試みが面白いのだとアルドフォは言います。
また、畑だけではなく、ワイナリーの方にも新たな投資を行ない、拡張(400万本分)を行なっています。
オーガニック栽培も80haとなりました。
勢いありますね、コノスル!
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