2月になりました。北陸地方の豪雪ニュースを見るにつけ、「富士山が雪化粧した~」と喜んでいられる静岡県民は恵まれているなあとつくづく思います。雪による死者が50人を超えるって、とんでもない自然災害です。台風や集中豪雨のニュースならもっと大きく伝えられるのに・・・。
自然災害のリスクが高いといわれる静岡県ですが、これまでの他の地域で起きた災害の犠牲者から何を学ぶのか、試されるときに来ていると思います。
静岡県で年4回、季刊発行する総合情報誌「ふじのくに」では、6号(11年10月発行)、7号(2012年1月発行)で災害対策特集を組みました。川勝知事の対談コーナーでは、6号で外交評論家の岡本行夫さん、7号で軍事評論家の小川和久さんと、防災における国際連携について貴重な提言をされています。
テレビでも鋭い論客として知られるお2人と知事のトークバトルは、とても誌面では収まりきれず、書き起こして編集するのは至難の業。私ごときが大事な対談内容を勝手に編集しちゃっていいのか、いつも苦労するんですが、ご本人の添削もちゃんと入り、すっきり面白くまとまっています。
岡本さんは、2010年8月にチリで起きた鉱山落盤事故について、「チリの鉱山技術は世界トップクラスだが、事故が起きた時、大統領は真っ先に全世界に向かって“支援してくれ”と言った。そうして各国からトップクラスの技術が集結し、3つのチームが競争するように立て坑を掘り、チリとアメリカの合同チームが一番乗りで救出した。そこにはNASAの技術や日本の通信技術も投入された。あの救出は世界中の先端技術をオープンに集結した結果だ」と紹介しました。原発事故の際、日本政府と東京電力が、アメリカやフランスから早い段階で支援の申し出があったのに、原子炉データが盗まれる云々の理由で拒否したのとは対照的です。
また小川さんは、「巧遅拙速」という孫子の兵法の教えを紹介してくれました。どんなにきれいに仕上げた試験の答案でも、〆きりに間に合わなければ合格点はもらえない。多少雑でも、必要なことを適切なタイミングで出来なければ意味がないということです。平時の際は「拙速はよくない」というのが定説でしょうが、非常事態や危機管理が必要なときには「拙速」が重要な心得になるんですね。
とかく組織が大きくなると、何につけても手順通りにやらなければ動けない、上のハンコが必要だ・・・なんて話になりがちですが、人の命がかかっているときは現場で何を優先すべきか、即断即決しなければならないでしょう。
お2人の指摘は、危機管理における「情報開示」「現場判断」の基本を改めて認識させてくれました。対談時には、リーダーたる川勝知事に対する助言のつもりでおっしゃったと思いますが、われわれ庶民も、非常時に臨機応変に対応する、素直に助けを求める、開示された情報を正しく読み取る訓練を、ふだんの生活の中で何らかの形で努めて行わなければ・・・と思います。
県総合情報誌ふじのくには、県広報課(電話054‐221-2231)へ申し込めば、本誌を送ってくれますが、現在、電子書籍化が進展中で、岡本さんの対談が掲載されている6号までこちらで読めます。私が執筆を担当したのは、P3~8までの知事対談&県政特集。県政特集の「オペレーショントモダチからの提言~ロバート・D・エルドリッヂ氏(在日米海兵隊基地外交政策部次長)特別講演より」も大変書き応えがありました!
小川さんが掲載された7号も間もなく電子公開されると思いますので、ぜひご一読を。