2月2日(木)はグランシップで開催された『ふじのくに食と農健康づくりフェア2012』に行ってきました。
川勝知事が“農芸品(芸術的な農産物・加工品)”と銘打つ県産品の生産者・加工業者・流通業者・研究者等が一堂に会する総合食品展。健康福祉部マターの「健康づくりフォ
ーラム」と経済産業部マターの「6次産業化フォーラム」「大学・研究機関の開発事例発表」など、従来の縦割り行政では融合し得なかった部局が、「食と農」というキーワードで一緒になったというのも画期的です。
1月28日のしずおか地酒サロンに来てくださった東急ホテル関係者や、私が敬愛する編集者・里見美香さん(プレジデント社・dancyu plus編集長)も東京からわざわざ駆けつけてくれました。
10時から17時までグランシップ大ホールで開かれた「総合食品開発展」は、大ホール目一杯に200以上のブースが並びました。日頃お世
話になっているJA静岡経済連、ふじのくに新商品セレクション2011年度入賞作品ブースなど見どころ盛り沢山で、フォーラムも聴きたいし、ブースも見たいし試食したいしで、丸一日、あっという間でした!
午前中は地酒研の草創期メンバーでもある石戸安伸さん(県農林技術研究所所長)と一緒に知り合いのブースを回り、県研究機関の開発事例報告「フーズサイエンスヒルズプロジェクト発表」を聴講しました。
地酒研メンバーの扇子家(牧之原市)・高橋克壽さん(こちらとこちらを参照)が出品し、ふじのくに新商品セレクション金賞に選ばれた『お蜜柑DEロール』。風味満点の優しい味わいと、冷やしてアイスケーキにできる点が評価されたようですが、石戸さんは、落果等で出荷できない早生蜜柑の皮と果汁を有効活用している点を大いに評価されてました。皮を使うということで、生産者に農薬含有量の情報をディスクローズしてほしい高橋さんですが、三ケ日のような一大産地でしか対応し切れない部分もあるようで、石戸さんといろいろ話し合っておられました。
「ボクのような個人経営の小さな菓子屋がこんな大きな展示会に参加しても、商談に応じられるわけでもないし、本来、場違いなところかもしれないけど、自分で創ったものについて、いろんな人の意見を聞きたくて・・・」と誠実に語る高橋さん。こういう真摯さと積極性が、大きなチャンスを引きよせるんだろうと思います。
昨年、大井川商工会さんでネーミングを頼まれた冷や奴用の生姜し
ょうゆ、『やっこ自慢』も堂々並んでいました。KOマートで買える戸塚豆腐店の手作り寄せ豆腐(こちらを参照)に添付されています。
大井川商工会のみなさん、お世話になりました。焼津と合併しても「大井川」の名前にこだわって頑張る商工会、名水&志太杜氏のふるさととして今後も何らかの形で応援していけたら、と思います。
フーズサイエンスヒルズプロジェクト発表会では、県茶業研究センターの「新製法の粉末緑茶開発」、県中小家畜研究センターの「新銘柄地鶏フジ小軍鶏の開発」、県水産技術研究所の「高品質のカツオすり身製法と加工食品化」、県工業技術研究所の「イズシカ(伊豆のシカ肉)製品開発」、県環境衛生科学研究所の「富士山の地下水と湧水の保全利用」を聴講しました。どれも、ごっつぅ面白かった!
ここでそれぞれ紹介し出したらキリがないので、また改めて詳しく書くとして、やっぱりゼロから、あるいはマイナスからモノを生み出す技術者の、オタッキーな話って好きだなあ。中には聴講者の理解度を無視してどんどんオタクな話をし出す人もいて、「この人、ここの開発に苦労して、クリアできた自分を褒めてあげたかったんだろうなあ」なんて想像しながら聴いてました(笑)。
午後は、里見さんと一緒に、6次産業化フォーラムの基調講演「顧客視点で売り上げを6倍にする方法」を聴講しました。
講師は、静岡県のリーディングアドバイザーを務めるJMR生活総合研究所の松田久一さん(リーディングアドバイザーというのは、川勝知事の知的ブレーンみたいな存在で、先の記事で紹介した岡本行夫さんや小川和久さんもそうです)。
自動車や家電メーカーが軒並み業績悪化する中、2次産業の依存度が高い静岡県では、いち早く農業の6次産業化を進めるべき、というお話。世帯数でみればシングル世帯(若年層、高齢層)が一番多くなって、若い世代は車を買わなくなった。若者・高齢者が生活で何を大切にしているかと言えば「食」。20代で炊飯器を持っているのは男子の方が女子より多く、“弁当男子”も着実に増えている。裕福な高齢層が喜ぶミシュラン店のようなハイスペックな飲食店も増えている。となると、流通業者にとっては、一般消費者もプロの料理人も満足させる生鮮3品の品ぞろえがカギになってくる・・・さすがマーケティングの専門家らしい切り口で、わかりやすく解説してくれました。
このフェア、一日では収納しきれない情報量で、業界関係者だけの平日一日だけの開催で終わっちゃうのはモッタイナイ気もしました。東京から駆けつけてくれる人もいるのですから、ぜひ日本を代表するような食の一大展示会として発展・定例化してもらいたいと思います。県は、6次産業化をアナウンスするではなく、まず自らの組織で、「やれるんだ」ということを証明してほしいですね。