昨夜(15日)は『茶道に学ぶ経営哲学研究会』で、暦や二十四節気と茶道の関わりについて学びました。季節感の表現は、茶道にとって最も大切なこと。さらに茶道の「七則」はビジネスにも通じる重要なフィロソフィーだと実感しました。
心得のある方には釈迦に説法だと思いますが、七則を自分なりに解釈すると、
一、茶:服のように点て。 → もともと薬として伝わった茶の効能を活かす → 人さまの役にたつ仕事をする。
二、炭:湯の沸くように置く。 → 沸騰温度を計る。→ 限度を見極める。
三、花:野にあるように。 → 自然の美しさを活かす。 → 手を加え過ぎないこと。
四、夏冬:夏は涼しく冬暖かに。 → 伝統の暮らしにエコのヒントあり。
五、刻限:茶事の時間厳守。 → 約束の時間の15分前には着くように心掛ける。
六、降:降らずとも雨の用意。 → リスクマネジメント。
七、相客:客への心配り。 → 顔ぶれ、席順等にも細心の配慮を。
会社の新人研修なんかだと、こういうことって最初に教わると思いますが、年齢とともになおざりになっちゃうんですよね。
私も駆け出しライターの頃、「原稿締め切り日の前日には入稿できるようにしなさい。1日早くもらえることで、編集者やデザイナーがどれだけ助かるか想像してみなさい」と教えられましたが、だんだんおろそかになってしまって、締め切りを守れなかった言い訳だけは達者になっちゃって・・・
でも、締め切りという基本さえ守れないフリーランサーなんて簡単に干されてしまうと実感し、今は初心に戻って、期日をどれだけ前倒しして入稿できるかに努めています。努力目標ですけどね(苦笑)。
さて、昨日の研究会では、メンバーの平野斗紀子さんが、『たまらん』の最新号を持ってきてくれました。新年特別編集で、全編、歌舞伎や日舞の舞台裏のお話。伝統芸能の舞台をささえる裏方さんたちの知られざるお仕事ぶりや、職人魂がこもったメッセージが満載されています。市川亀治郎さんご指名の稀音家祐介さん(長唄三味線)、坂東玉三郎さんご指名の日吉小間蔵さん(長唄)など、歌舞伎ツウなら見逃せないインタビューも。長年、日本舞踊をたしなむ平野さんならでは、の特集です!
実は昨年暮れ、東京の国立劇場小劇場で、平野さんが所属する花柳流若由美会の発表会があって、「平野さんが踊るところを見てみたい!」とゴリおしをして、チケットを譲ってもらって観に行ったんですね。平野さんは三保の羽衣伝説を題材にした常盤津『松廼羽衣』の漁師・伯了を演じました。
もう見事な男役で、唄も朗々と謳って、ビックリ仰天しちゃって・・・。地方(三味線・長唄)の演奏も素晴らしいし、舞台のセットはホンモノの歌舞伎(・・・生で見たことないけど)と同じ。それより何より、踊り手の所作! 人間の身体ってこんなに美しい動きができるんだと感激し、和装の美しさにも感激しました。気が付いたら私の隣の席には、テレビの時代劇で時々お見かけする某女優さん・・・。ホント、劇場にいる数時間が、夢の、異次元空間のように思えました。
平野さんから「ひとつの演目、ひとりの踊り手を、少なくとも30~40人の裏方が支える」ときき、多くの職業人がかかわる日本の大事なソフト産業であり、しっかり伝えていかなければ、という思いが、平野さんを突き動かしたんだなあと解りました。
踊りを本格的に習い、国立劇場の発表会に参加するって、単なる趣味や行儀見習い程度の気分で出来ることじゃあないでしょう。ましてや、書くプロとして裏方にこれだけ密着して取材し、自主制作新聞で伝える・・・。「伝える使命」をしっかり軸に持っていなければ出来ないことです。こういう先輩が側にいて幸せだなあとつくづく思います。
茶道研究会のみなさんも、食い入るように目を通し、伝統芸能に精通する望月先生も記述をもとに、かつて華やかなりし頃の静岡の花柳界のお話などもしてくれました。
たまらん新年特別号は、戸田書店静岡本店、谷島屋呉服町本店等で1部100円で絶賛発売中です。伯了姿の平野さんの貴重なバックショットも載ってます。ぜひお目通しを!!