先週、静岡新聞夕刊に記事が出たのでご存知の方も多いと思いますが、6月2日(土)、静岡市街の居酒屋8店が協賛する『満寿一deはしご酒』が開かれます。今回は8店すべてで、満寿一をはしご呑みするというスペシャル企画です。
街中の居酒屋を回るはしご酒ツアーや街コン企画、最近各地で活発ですね。趣旨や目的はどうあれ、あまりアルコールを飲まなくなった若い人や家呑み派が増える中、苦戦する居酒屋さんに人が集まるきっかけになるって喜ばしいことです。
そんな中で、「地酒を呑む」という一点に特化し、参加各店に蔵元を配置し、地道に回数を重ねてきた静岡deはしご酒。年々参加者が増え、清水、藤枝、沼津と開催地も広がってきました。私が改まって言うまでもなく、これはひとえに、主催者の山口登志郎さん(「湧登」オーナー)の、造り手と呑み手をつなごうという真摯な思いの賜物ですね。
今回は、公式サイト(こちら)にも書かれているように、今年、蔵元の急死によって酒造りの歴史を閉じることになった『満寿一』を、ゆかりのある人々や地元ファンの総力で、“記憶に残そう”と企画されました。同志でありライバルでもある國香&喜久醉の蔵元も、満寿一を語るためにわざわざ時間を作って参加します。他の業界では出来ないことだろうし、ただでさえ人気があって各試飲イベントにひっぱりだこの2人が、自社以外の酒を消費者に紹介するって、この2人にしっかりとした考えや思いがなければ実現し得ないことです。
造り手同士の深い絆、造り手を大切にしようとする売り手や呑み手の思い・・・長年、「造り手・売り手・飲み手の和(輪)」を標榜して活動してきた身としては、一部であれ静岡酒の環境が着実に好転していることをしみじみ実感できます。
満寿一さんとお付き合いの長いしずおか地酒研究会が、なぜ満寿一さんを偲ぶイベントをやらないんですか?と訊かれたこともありますが、山口さんはじめ多くの伝道師が活躍する今、ある意味、会の使命は達成されたのかもしれないし、役割が一つ終わった・・・と思っています。真の銘醸地ならば、“造り手・売り手・飲み手の和を創らなければならない会”が存在しているって変だし、そんな会がなくても、自然に、地元の店には必ず地酒があって、地元の人に愛される・・・そんな地域が理想なんですよね。
6月2日の『満寿一deはしご酒』、午後5時半から、静岡市街中心部の以下の8店で、それぞれの店の酒肴と満寿一を味わってください。費用は1店舗1000円。
◆参加飲食店/大作(静岡アスティー東館)
かくれ家(昭和町)
たがた(常磐町)
狸の穴(七間町)
のっち(七間町)
華音(両替町)
湧登(南町)
MANDO(呉服町)
この8軒のどこかに、満寿一蔵元夫人の増井智恵子さん、松尾傳一郎さん(國香)、青島傳三郎さん(喜久醉)がそれぞれ待機していますので、満寿一という酒の思い出、若くして逝かれた蔵元増井浩二(傳次郎)さんのことを思う存分語り合ってください。私も某店でお手伝いする予定です。