ななきたのご隠居~野崎 幸治

千葉市美浜区で行政書士をしています。
地元では「ななきた(磯辺7丁目北自治会)のご隠居」と言われています。

手紙

2016年04月21日 | 読書

先日飲み会の席で知人に東野圭吾が好きだったら「手紙」という小説,まだ読んでいなかったらぜひ読んでみたらと言われました。

翌朝起きて酔っぱらって聞いていたので「日記」だったか「手紙」かと思ってアマゾンで検索してみました。

東野圭吾はいろんな文学賞を取っていますがこれは何も取っていなかったので(直木賞候補)見逃していました。

強盗殺人の罪で服役中の兄とその弟との手紙のやり取りに関連した物語です。

兄弟が不幸な生い立ちから絆が特に強かったのです。

が兄の事件後には弟は次から次へと世間から冷たい仕打ちを受けます。

しかし兄は刑務所の中で時間が止まったような状態ですので、のんきな手紙に弟はイライラします。

「自分(弟)の現在の苦境は、剛志(兄)が犯した罪に対する形の一部なのだ」犯罪者は自分の家族の社会性をも殺す覚悟を持たなければならない。

そのことを示すためにも差別は必要なのだ。未だかつてそんな考えに触れたことさえなかった。自分が白い目で見られるのは、周りの人間が未熟のせいだと決めてかかっていた。

これは理不尽の事だと運命を呪い続けていた。それは甘えだったのかもしれない。差別はなくならない」

ある意味で罪を犯したものより残された家族に過酷な運命が待っています。

しかしこの小説の結末に兄弟が刑務所内の施設で再開します。(弟が犯罪者になった訳ではありません)

ここが結構泣かせます。

ご隠居も罪を犯してしまった人と接する機会も多いのですが考えさせられます。

宮部みゆきの模倣犯。長い小説です。

ご隠居と宮部みゆきさんは同じ高校で、それがどうしたといわれればそれだけなんですけど新刊が出るとよく買ってきました。

しかし最近は目もきつくなり宮部みゆきが新刊を出したといっても長編だろうなと二の足を踏んでしまいます。

さてこの「模倣犯」では孫娘が誘拐されてしまって祖父が東奔西走して探し回ります。

そんな中で警察、マスコミ、近所等々の対応に苦慮します。犯罪に巻き込まれる辛さを感じます。

そして犯罪を一つ起すと犯罪者はもちろんの事、その家族、そして被害者、その家族みんなを巻き込んで平穏な日常から地獄に落ちたようになります。

 

ご隠居もたまに研修やその他の用事で刑務所に行くことがあります。

「塀の中」言われますが高い塀に囲まれた刑務所です。

入口から二重扉になっていて二つ目の扉をガッチャと閉めると刑務所内です。同じ青空でも中に入るとピーンと張りつめた空気のような気がします。

特に冬などは葉を落とした枯木に北風があたって寒々としています。外でも同じですが特に感じます。

すぐ隣の場所に行くにも点呼をとって足並みそろえて号令をかけて移動します。

昼間は誰もいない居室(監房)ではきちんと布団がたたまれています。きれいに磨いてある浴室。

でもなんなんだろうこの空気と臭いはと思います。

食事はもちろん受刑者が作ります。材料費は3食で500円程度。約4000カロリー。

ある刑務所の所長さんも昼は受刑者と同じものを食べるが結構美味しいですよと言ってました。

冬になると路上で寝ていると辛いのでわずかな罪(再犯者)で入所する人が多くて混むとのことです。

ある意味刑務所に入っていた方が楽で残された家族の方が大変な感じがします。

アマゾンで書籍を買うとついでにお奨めとつい余計な本まで買ってしまいます。これも東野圭吾です。

「日本推理作家協会賞」を撮った作品です。

映画にもなったしテレビでも放送されたのでご存知かと思います。

広末涼子が初めての主演映画ですが18歳の女の子と40歳の母の役を同時にこなすのは難しかったと話しています。

最近でも高速バスの事故があり運転手の過剰な勤務状態が問題になりました。

この映画は最初観ていた時に(テレビですが)バスの転落事故で母が死に娘が生き残ってそこからいろいろ事件が起こるわけですが気乗りしないで観ていました。

(酒飲んでみていたので途中寝ていた所もあった)

しかし小説を読んでみると運転手が自分の都合で進んで業務をこなし賃金を得ていた裏の事情などが映画よりよく書かれています。

父親の葛藤とバスの運転手さんの家族の部分が特に良かった。

東野圭吾といえば「麒麟の翼」「容疑者X献身」「真夏の方程式」などサスペンスが好きですが幅広くいろいろ予見して書いているなと思いました。

最近千葉市内で少女軟禁というひどい事件がありました。

「残虐記」は桐野夏生が04年に柴田錬三郎賞を取った作品です。

少女誘拐監禁事件の被害者だった女の子がその後作家になり過去を振り返ります。当時検察官だった人と結婚したり登場人物がパズルのように絡み合っています。

「10歳の私が、持てる知恵と体力と意思と、ありとあらゆる能力を総動員して生き抜こうとした経緯を何とか表したいと」主人公に言わせています。

今度の事件とは関係ありませんが十数年前にこんな小説を机上で考え書いていたなんて小説家はやっぱりすごい!

 

世の中事件が無くなることはありませんがたまたま犯罪を行ったという人も沢山います。

法務省保護局、保護観察所、地方保護更生委員会、その他沢山のボランテァの皆さんが再犯をふせぎ、非行をなくし改善更生に地道に活動しています。

その一方で特に未成年者の犯罪に対しては加害者の方をかばいすぎとの意見も聞かれます。

最近は被害者通知制度、心情等伝達制度等々被害者(とその関係者)の求めに応じて

加害者が仮釈放の審理が開始され結果がどうなったか、被害者の置かれている立場がどうなったとかの心情を加害者に伝えることもできます。

 

また不幸にして犯罪の被害者になった場合、特に職場内のセクハラ、それ以上の行為など一般に相談しにくい案件もあります。

事件・事故発生後早い時期から関係機関と連携して被害者が抱える様々なニーズに適切かつ継続的に支援活動を行っている組織があります。相談してみては如何でしょうか。

千葉県の場合

千葉犯罪被害者支援センター

千葉市中央区長洲1-3-1

043-225-5451

http//www.chibaacvs.gr.jp

何はともあれこの世に生まれてきて他人に迷惑かけないで過ごしたいですね。助けてもらうことはやむおえませんが。

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