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凍ー沢木耕太郎(再読)

2020年08月13日 | 読書
評価5

日本を代表するクライマー・山野井泰史、妙子夫妻がエベレスト北西に位置するギャチュンカン峰北壁(7,952㍍)に挑戦、猛烈な雪嵐の中、泰史は登頂を果たすが下山がままならない二人に雪崩が襲い掛かる。次第に意識が朦朧となる二人はどのようにして生還できたのか、ノンフィクションの傑作!

二人は両手両足の指のほとんどを凍傷で失いつつも、零下30℃~40℃の標高7,000㍍を超える切り立った壁の幅7~8センチの棚でビバークしたり、ロープでブランコを作って宙づりのまま仮眠をとる状況が人知を超えていて想像すらできない。

クライミング技術がよくわかならいので、下降時のシーンが具体的に浮かんでこないことが悲しいが、極寒の中で手袋を外してハーケンを何時間もかけて打ち続け、お互い視力を失いつつも平地に降り立った場面では再読にもかかわらず目頭が熱くなった。しかし、これで物語は終わらない。ほとんどの体力を失った二人にはベースキャンプまでの距離があまりにも長すぎた。ほぼ1歩が出ない妙子を置いて泰史は消えつつあるエネルギーを絞りだしてベースキャンプへたどり着いたのだ。

そして、その後、二人のクライミングにかける情熱が失われていないことが凄い!何度でも読みたい本です!


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