1月4日 おはよう日本
「伏見の酒」で名高い京都では
日本酒の需要を盛り上げようと
新たな日本酒を作るための酵母が開発された。
京都市で開かれた日本酒を味わうイベント。
全国各地の蔵元が参加し1万人が訪れた。
京都市は日本酒での乾杯の習慣を広めようという条例を全国で初めて制定。
「伏見の酒」が名高く
酒造りが盛んである。
しかし人気が高まる地酒もある一方で
国内全体の出荷量は10年で2割以上減少。
京都の出荷量も1割以上減った。
伸び悩む需要を盛り上げることはできないか。
京都市産業技術研究所の廣岡青央さんは
20年間日本酒の酵母の研究一筋に取り組んできた。
今回 廣岡さんにチームは
日本酒ならではのある飲み方に注目した。
日本酒を温めて飲む“かん酒”である。
熱燗やぬる燗 あら肌燗。
好みの温度て飲むのが魅力だが
楽しむ人が減ったと言われている。
廣岡さんは
かん酒のおいしさをもっと多くの人に知ってほしいと考えた。
(京都市産業技術研究所 廣岡青央さん)
「親の世代はかん酒しか飲まない世代だが
それがなくなってきた。
私がかん酒を本当に好きなので
そういう飲み方を広めていきたい。」
そして10年がかりで見つけ出したのが酵母。
酒を温めたときにうま味として感じる成分“コハク酸”を多く生み出す。
独自の手法で200種類の酵母を分析した。
そしてもっとも多くのコハク酸を生成する酵母を選びだした。
(京都市産業技術研究所 廣岡青央さん)
「酵母の段階ではかなりいいものができた。
かん酒を飲んだことのなかった若い人に特に飲んでもらい
『こんなにおいしいものだ』と思ってもらえたら幸せ。」
新しい酵母で作った日本酒はどんな味になるのか。
創業20年余の酒造メーカーでは今回の酵母を使った日本酒づくりが進んでいる。
新たな酵母を使った商品開発に名乗りを上げた。
仕込みは去年の春に行った。
「熟してきたらまるみも増えてくるし
かん酒にしたらふくらみがあっていいタッチになる。」
新たな酒はよりまろやかな味わいにするため1年以上かけて熟成させる。
今年の秋にも出荷の予定である。
(齊藤酒造 齊藤透社長)
「温度帯の幅 広さが清酒の楽しみの1つ。
その部分を生かすためにも
かん酒がお客様にとって『おいしいものだ』と
あらためて認識していただけるような商品を作ることが
我々にとっても大変重要なこと。」
古くから日本の食文化をいろどってきた日本酒。
新たな需要を取り込もうというホットな挑戦に注目が集まる。
新しい酵母はコハク酸にちなんで「京の珀」という名前が付けられた。