1月10日 国際報道2017
食の都パリ。
グルメガイドで1つ星を獲得しているフレンチレストランで提供されているメニューは
「ホタテと魚介だしのムース かつお節(KATHUOBUSHI)添えです。」
かつお節は現地でも日本語のままメニューに使われるほど定着しつつある。
「変わった味だけど大好き。
おいしいわ。」
「いろんな感覚を呼び覚ます味ね。
おもしろいわ。」
シェフのジャッキー・リボーさんは
かつお節は自分が作るフレンチ料理に欠かせない食材だという。
(ジャッキー・リボーさん)
「かつお節は料理にすてきな香りを与えてくれる。
だしにかつお節を加えないと味がもの足りないんだ。」
かつお節が使われているのは一部のシェフの間だけではない。
地元のスーパーをのぞいてみると
毎週のようにかつお節を買っているという男性。
「スープやラーメンに入れて食べるんだよ。」
ところがこのかつお節の生産地を確認すると韓国産。
かつお節の人気に目をつけた韓国の業者が輸出しているのである。
大量の薪の煙でいぶして作る日本のかつお節。
伝統的なこの作り方ではEUの厳しい食品規制基準に抵触するため
日本から輸出ができないのである。
そこで輸出がだめなら現地で生産しようと
鹿児島県枕崎の業者など10社が連合を組んでフランスに工場を建設。
去年8月から試作品づくりに取りかかった。
枕崎でかつお節づくりを学んだフランス人2人を中心に
フランスに水揚げされたカツオを使って作る。
かつお節製造会社社長の大石克彦さんは
日本とフランスを行き来しながら開発を続けてきた。
目指すのは
枕崎で作る最高級のかつお節と変わらない品質である。
カツオの加工や削り方など工夫を続けること3か月。
去年の11月末に納得がいくかつお節ができた。
そのかつお節を持って初めての営業活動。
訪ねたのはグルメガイドで2つ星を15年守り続けているパトリック・ジェフロワさん。
フランスでも名をはせるジェフロワさんにかつお節を使ってもらい
その良さをその味をフランス全土に広めるのが狙いである。
(パトリック・ジェフロワさん)
「初めてですよ こんなかつお節は。
口に含んだ瞬間かつお節の味が広がる。
かつお節羽ふつうはこんなに味がはっきりしない。」
ジェフロワさんはすぐに厨房へと向かった。
一体どんなものを作るのか。
ジェフロワさんはかつお節をさらに細かくした。
混ぜ合わせた食材はバター。
「味見してください。
かつお節入りのバターです。」
日本では思いつかない組み合わせだった。
「混ざっている。
カツオの香りがすごい。」
(パトリック・ジェフロワさん)
「バターの脂肪分がカツオの風味をくるむから
より強くかつお節の香りがするのです。」
パンにつけて食べても合うのではないかという提案だった。
さらにスモークサーモンなど薫製の香りが好まれる土地柄に合わせて
淡白な白身魚にかつお節の衣をまとわせたフライなど
新たな使い方も提案する。
(大石克彦さん)
「かつお節はいろんな食材の前に出ないで
裏方から雰囲気が料理に出ている。
おいしい。」
かつお節を使った新たなフレンチを食べた大石さんたち。
フランスの人たちに受け入れてもらう手掛かりになった。
(大石克彦さん)
「いろんな料理に使っていきたいと言われたでしょ。
あれはすごいですね。
もっともっと僕らは
品質が良くシェフに喜んだもらえるようないいかつお節を作っていきます。
がんばります。」
日本伝統の味から世界の味へ。
美食の国 フランスでの挑戦が続く。