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高潮リスクに備えるマイアミ

2018-11-14 07:00:00 | 報道/ニュース

10月19日 キャッチ!世界のトップニュース


いま世界各地で猛威を振るう高潮。
今年7月 日本列島を東から西へと異例のルートをたどった台風12号では
相模湾一帯を高波が襲い走行中の車が次々と波にのまれた。
また9月の猛烈な台風21号では防潮堤を乗り越えた高潮で関西空港が浸水。
空港機能がストップするなど私たちの生活にも大きな影響を与えた。
アメリカでも「フローレンス」「マイケル」と大きなハリケーンが相次いで上陸。
各地で甚大な洪水被害をもたらした。
沿岸都市では高潮対策の議論が高まっている。

マイアミを巨大ハリケーンが襲うのはもはや時間の問題である。
フロリダ国際大学では巨大な送風機で防災力を高める研究が行われている。
「直径1,8m
 そして700馬力もある送風機12台で
 カテゴリー5に相当する風が作り出せます。」
土木・環境工学科の ヨアニス・ジシス准教授。
建造物の模型にハリケーンと同じ強さの風を当てる実験を行なった。
その結果
風に耐える建物がどう造られているのかが明らかになった。
(フロリダ国際大学 ヨアニス・ジシス准教授)
「私たちはこれらの建物が異常気象でどうなるのか調べています。
 建築基準や風対策の基準などはこの研究結果に基づいています。」
きっかけはハリケーン「アンドリュー」だった。
1992年8月24日 カテゴリー5の嵐がマイアミ南部に上陸。
建築基準が不十分だったため被害が広範囲に及んだ。
(ヨアニス・ジシス准教授)
「90年代と比べると状況は改善されています。
 現在の建築基準は当時よりかなり厳格です。」
しかし南フロリダではいま
水の脅威がエンジニアや防災担当者を悩ませている。
(マイアミビーチ市の防災担当主任 スージー・トリエンティさん)
「ハリケーン・アンドリューの教訓は
 風対策という形で南フロリダの建築基準に生かされ
 最終的に州の基準にも採用されました。
 いまは洪水や海面上昇について考え
 基準の見直しを進める時です。
 過去から学び今に生かすということです。」
18kmのマイアミビーチ市は海に囲まれており
まるで海から陸を守る島である。
(スージー・トリエンティさん)
「美しいですが脆弱な土地でもあります。
 洪水にも弱いし
 海面上昇も明らかです。
 最近では南フロリダでよくある午後の暴風雨がだんだん強くなってきているように感じます。」
春と秋
月の引力が強くなり潮位が1年で最高となるころ
青空と太陽のもと
深刻な洪水との戦いが待っている。
(マイアミ大学 ハロルド・ウォンレス教授)
「水面が1,8m上昇すると
 マイアミ周辺は水路に囲まれた土手のようになってしまいます。
 入り江になってしまう場所もあります。」
人口密度の高い南フロリダはこの地域特有の脆弱性とも戦わねばならない。
(ハロルド・ウォンレス教授)
「マイアミの石灰岩には穴が非常に多く
 水の浸透がとても早いという性質を持っています。」
キャンパス内の採掘場でこの地域の特徴でもある穴だらけの石灰岩の地質を見ることができる。
(ハロルド・ウォンレス教授)
「この地層に雨が降るとすぐ海に流れ込んでしまい
 海水面が上昇します。」
開発業者が案内する建設中の10億円を超える気候変動対応済みの豪邸。
海抜2,7mの土地に
床や壁 屋根は全てコンクリート製。
発電機も完備しており
窓はペアガラス採用。
これでも裕福な顧客にとっては通常使用だという。
(開発業者)
「できるだけのことはやっています。
 いつまで安全に住めるかと言っても
 30年経ったら沈むよ。」
このままだと30年後は海に沈んだ“お堀付高級物件”になってしまう。



 

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