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冷戦再び?NATOの危機感

2018-11-30 07:00:00 | 報道/ニュース

11月2日 国際報道2018


NATO(北大西洋条約機構)は12か国が1949年に結成。
冷戦終結後は旧共産圏の国々も取り込み
2018年現在は加盟29カ国にまで拡大した。
そのNATOに強い衝撃を与えたのが
4年前のロシアによるクリミア併合だった。
ロシア軍部隊の迅速な展開はNATOの想像を上回っていた。
さらにロシアは今年2月
NATO加盟国に隣接する飛び地に核弾頭を搭載できるミサイルを配備した。
危機感を募らせたNATOは7月
ロシアによる加盟国への進行に備え
陸海空30ずつの大規模な部隊を30日以内に迅速に展開する戦略を決めた。
高まり続けるロシアの脅威を背景に
各国はいま同盟の結束を固めている。
(ドイツ陸軍 フォマール中将)
「クリミアが併合された2014年に安全保障の状況は変わり
 東欧の加盟国は危機にさらされている。
 それを守るのが同盟の義務だ。」
NATOとロシアの新たな対立が生まれているのが
ヨーロッパの東側ルーマニアとウクライナに挟まれたモルドバである。
面積は役3万4,000㎢と日本の九州よりやや小さく
人口は350万余。
1991年に旧ソビエトから独立したが
今も公用語であるモルドバ語だけでなくロシア語も広く使われている。
モルドバは独立以来 欧米寄りの外交政策を重視しており
目指してきたのがEUとNATOへの加盟である。
ところが2年前の大統領選挙で当選したのが
ロシア寄りの姿勢を貫いてきた野党の党首だったドドン氏。
ドドン氏はロシアとの関係強化を掲げ
欧米寄りの政権による汚職や腐敗などへの批判が追い風になり
国民からの支持を得たと見られている。
この結果モルドバでは
大統領が親ロシア派なのに対し
首相や議会の多数を占めている政党が親欧米派というねじれた状態になっている。
こうした中つけ入る隙を狙っているとみられるのがロシアである。

旧ソビエトからの独立以降もヨーロッパとロシアの間で揺れてきたモルドバ。
ロシアのプーチン大統領もこの国の動向を注視している。
ドドン大統領の就任以降
軍事パレードに招くなどして頻繁に会って関係を強めている。
ドドン大統領と会談し経済協力を推し進める姿勢を強調した。
(ロシア プーチン大統領)
「貿易や経済の分野で状況がよくなり
 ロシアへの輸入も農業分野を中心に増えている。」
実際にロシアは親欧米だとして禁止していたワインの輸入を去年解禁。
ワインはモルドバの重要産業。
ドドン大統領を支える政策をとり始めている。
一方のドドン大統領もロシアとの関係を重視していく姿勢を示した。
(モルドバ ドドン大統領)
「私たちはガスなどのエネルギー資源をロシアから得ている。
 とても重要な国だ。
 プーチン大統領とは良き対話を続けていく。」
親ロシア派のドドン大統領に対して
首相や議会は親欧米路線をとっている。
街なかでもヨーロッパとの統合を求める意見がきかれた。
(モルドバ市民)
「欧州の方が子どもたちの将来がある。
 生活レベルも高いし仕事もある。」
「モルドバはロシアとは長年の関係だがいいことはなかった。
 今後もないだろう。」
さらに安全保障でも欧米との一体化を進めようとしている。
NATOへの加盟を目指して首都では連絡事務所まで設置。
セミナーでNATOの意義を説明するなど
加盟に向けた機運を高めている。
(NATO情報センター)
「モルドバは多くの安全保障上の問題を抱えている。
 ここは“NATOとは何か”を理解してもらう重要な場所となっている。」
こうした中モルドバでは来年2月に行われる議会選挙を控え
早くも選挙戦ムードが。
政府や与党は
ロシアが選挙でドドン大統領を支援し議会構成を逆転させ
欧米寄りの動きを阻止するのではないかと危機感を強めている。
議会はロシアの介入がないかなどを調べる委員会を設置。
議長は
NATOやEUへの加盟を目指す上でも負けられない戦いになると強調した。
(モルドバ議会 カンドゥ議長)
「大統領側が多数はとなればヨーロッパへの統合は失速するか止まってしまう。
 選挙に何としても勝つべく頑張りたい。」
一方でドドン大統領はロシアとの経済協力の効果を有権者にアピールして
大統領側が多数派となることに意欲を示した。
(モルドバ ドドン大統領)
「今回の選挙で相手側は負けるはず。
 私を支持する政党の方に過半数を獲得するチャンスがある。
 これで今ある政治の対立は消えるだろう。」
欧米かロシアか
揺れるモルドバ。
ロシアにとってこの小さな国の存在が大きくなり始めている。




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