2月12日 NHK「おはよう日本」
フルーツやチョコレートで彩られたケーキの数々。
パティシエたちがひとつひとつ手作りで仕上げたものである。
こうしたケーキは店頭に並べ続けるには
仕込みから完成まで1~2日かかる。
日持ちがいないため
毎日次から次へと作り続けなければならない。
かつてケーキ店でパティシエとして働いていた30歳の女性。
毎日長時間にわたってケーキを作り続けることに疲れ
働き始めて4年で仕事を辞めたという。
(ケーキ業界での勤務経験のある女性)
「お客さんが来た時にケーキがないというのは絶対にダメだと。
きついだけでした。
ケーキ自体は美味しかったし
シェフのことは尊敬していましたけど
それにしても労働環境がひどかったような気がします。」
兵庫県の業界団体では
「働き方を見直さないと菓子作りの業界にいずれ人材が集まらなくなってしまう」と危機感を募らせている。
(兵庫県洋菓子協会 会長)
「人手不足
長続きしない
すぐ辞めてしまう。
これは私らにとって大問題で
働き方改革で週休2日制 8時間労働
有給を例えば5日間以上とってもらいましょうとか
一日でも早く
そのような環境
そのような社員に対して状況を作ってあげることが
これからのお菓子屋の発展に不可欠だと。」
パティシエの負担を減らすためにケーキを売らないという選択をした店がある。
店の人気商品はケーキだが
週に1日いっさい「ケーキを売らない日」を設定したのである。
その日にショーケースに並ぶのはクッキーなどの焼き菓子だけ。
工程が多く手間がかかるケーキに比べ
クッキーなら一度作れば日持ちがする。
苦渋の選択だったが従業員の完全週休2日制を実現することができた。
(従業員)
「気持ちが少し楽になったという感じです。」
「体をきちんと休められるので
休み明けからまたきちんと働けるから
そういう意味ではいいと思います。」
(洋菓子店「ゲンタロウ」 オーナー)
「売り上げが下がる不安よりも
従業員が離れる不安の方が大きかったので
その辺は思い切ってやろうと決断したんです。
売り上げの面では当初は苦戦したんですけれど
やってよかったなと。
その分がんばってくれているし
僕としてはすごくメリットかなと。」
従業員にパティシエの技術をわかりやすく丁寧に教えることで
人材をつなぎとめようとしている店も出ている。
オーナーはかつては「見て学べ」と若手を育成する店が少なくなかったという。
そこでこの店が去年取り入れたのがストップウォッチである。
作業のスピードを計る。
計った時間をもとに
ひとりひとりの技術レベルに合わせ具体的にアドバイスしている。
(洋菓子店「エルベラン」 オーナー)
「“早くしろ”って言葉でいうのは簡単だが
その“早く”が何分なのか
“遅い”が何分なのかというのを
体感してもらうのがすごく大事だと思います。」
あこがれの職業であり続けるために
ケーキ業界は変われるのか。
いま大きな岐路に立っている。