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米カリフォルニア州 雇用めぐる新しい法律で波紋

2020-03-04 07:00:00 | 報道/ニュース

2月13日 NHKBS1「キャッチ!世界のトップニュース」


ネットを通じて単発で仕事を請け負う
Gig worker(ギグワーカー)。
配車サービスのUBERなどで働くギグワーカーは
個人事業主として
自分の好きな時間に働いて収入を得られることから人気を集めている。
一方こうしたギグワーカーの人たちからは
最低賃金が保証されていないなどの不満が上がっている。
そうしたなか米カリフォルニア州で1月
これまで個人事業主として働いていた人を広範囲で
“従業員”とみなすよう企業に義務付けるよう
法律が施行され
波紋を広げている。

街なかを走り抜ける配車サービスの車。
スマホのアプリを通して利用者の予約が入り
登録している一般のドライバーが自分の車で迎えに行く。
国土が広く公共の交通機関が行き届かないアメリカで市民の足として定着している。
登録しているドライバーは自営業や会社員 学生などさまざま。
自分の好きな時間に働き収入を得ることができるギグワーカーの代表的存在で
その数はカリフォルニア州内で30万人以上に増えている。
そのギグワーカーに衝撃を与える法律が
去年カリフォルニア州の議会で可決され
1月から施工された。
個人事業主の定義を厳しくし
広範囲で労働者を従業員とみなすよう企業に義務づける内容で
賃金の補償や残業代の支払いなど
働く人の権利を守ることが狙いである。
これに配車サービスの大手UBERなどは反発。
“ドライバーはあくまで個人事業主であり従業員にあたらない”と主張している。
年間5億ドル(500億円以上)ともいわれる経費の増加を避ける狙いもあるとみられる。
配車サービスのドライバーの間でも賛否が分かれている。
ロサンゼルスで配車サービスのドライバーをしているバルディビアさん。
“ギグワーカーも最低賃金が保証されるべきだ”として法律に賛成している。
(配車サービス ドライバー バルディビアさん)
「駐車代など経費は会社に請求できません。
 会社は設けても私たちは赤字
 不公平です。」
バルディビアさんは
会社が法律を守り自分たちを従業員とみなすよう働きかけるため
ギグワーカーのドライバーが加入できる新しい労働組合を作ろうとしている。
すでにホームページを作り
参加者を募っている。
「毎日新しいドライバーが加入しています。
 確実に賛同者は増えているわ。」
一方
“配車サービスの自由な働き方が失われる”と
反対するドライバーも少なくない。
空き時間を利用してドライバーをしているトマッソンさん。
本業はミュージシャンのトマッソンさん。
海外に長期のコンサートツアーに出ることもある。
“従業員になると勤務時間に拘束されミュージシャンの仕事に支障が出る”と反対している。
(配車サービス ドライバー トマッソンさん)
「従業員になれば
 会社が予定を決めて休みも許可が必要です。
 配車サービスなら自由に休みが取れます。
 同じ働き方を押しつけるのは間違いです。」
新しい法律の影響は他の業種にも広がっている。
エンターテインメント産業が盛んなロサンゼルス近郊で
映画の評論などを手掛けるフリーランスのジャーナリストのブッシュさん。
多い月には100本以上の記事を書くというブッシュさん。
この仕事が気に入っているという。
(フリーランス ジャーナリスト ブッシュさん)
「仕事をしたいときに好きなだけできます。
 本の執筆や司会の仕事をしてきました。」
法律では
ブッシュさんのようなフリーのジャーナリストが1年間に35本以上の記事を書く場合
会社はそのジャーナリストを従業員とみなす必要がある。
しかし法律が施行されたことで
従業員の残業代や労災補償などの経費増加を敬遠して
契約を打ち切る会社が相次ぎ
仕事の量は以前の半分にまで落ち込んだという。
(フリーランス ジャーナリスト ブッシュさん)
「仕事が入らなくても家賃や光熱費は払わなければなりません。」
働く人の権利と
勤務時間に縛られない自由な働き方。
そのバランスをどうとるべきか。
アメリカで議論が続いている。

もともとカリフォルニア州は野党民主党の地盤でもあり
労働者の権利を守るべきだという考え方が受け入れられやすい土地柄で
最低賃金や残業代の補償などに対する市民の関心は高い。
さらにこうした州内の世論を背景に
民主党から米大統領選挙の候補者選びに立候補している
サンダース候補やウォーレン候補などが次々に法律への支持を表明し
賛成派が勢いを得ていったという経緯がある。
UBERなど会社側にとってみれば
ビジネスモデルの根幹が揺るぎかねない事態だと言える。
そもそも
既存の働き方にとらわれず自分の空き時間に働くことができるというのが
ギグワークの魅力だからである。
仮にドライバーを従業員にみなすということになれば
残業代などの経費が膨らむだけでなく
自由な働き方を求める人たちが会社から離れ
ドライバーのなり手がいなくなることにもなりかねない。
UBERやリフトといった会社は
法律に反対するドライバーたちと団体を作り
新たな法律の制定を求めて署名活動を開始している。
この法律では“ドライバーはあくまで個人事業主にあたる”としたうえで
最低賃金や
勤務中にけがをした場合に労災保険の適用を受けられることなどを保証する内容になっている。
約60万人分の署名が集められれば
今年11月に行われる米大統領選挙に合わせて
カリフォルニア州で住民投票を行なって賛否を問うことになる。
会社側によると署名は順調に集まっているという事で
働き方をめぐる前例のない住民投票につながるのか
注目されている。


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