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貧しい国が驚異の経済成長へ

2020-03-31 07:00:01 | 報道/ニュース

3月5日 NHKBS1「国際報道2020」


2020年の経済成長率
南米ガイアナは85,6%と予測されている。
ガイアナはベネズエラやブラジルと国境を接していて
日本の本州ほどの広さに約80万人が暮らしている。
公用語は南米では唯一英語である。
おもな産業はコメやサトウキビなどの農業で
国民1人あたりのGDPは約5,000ドル。
南米ではボリビアに次いで貧しい国である。

南米大陸の北部
テーブルマウンテンがそびえるギアナ高地。
ガイアナはその大西洋側に位置する。
国土の約8割は熱帯雨林である。
首都ジョージタウンの中心部には色鮮やかな建物が並ぶ。
ガイアナの人口は
約30%がオランダの植民地時代に労働力として連れてこられたアフリカ系の子孫。
そして40%ほどが19世紀にイギリス領となってから
移民としてやって来たインド系の人々となっている。
中心部を離れるとのどかな風景が広がり
電気や水道も通っていない住まいが少なくない。
インフラも整わないなか
多くの家庭が牛を飼育し
酪農や稲作を営む自給自足のような生活を続けてきた。
(貧困地区の住民)
「今の収入では生きていくのがやっと。
 お金はないし定職もない。」
そのガイアナがいま劇的な変化のさなかにある。
首都ジョージタウンでは古い建物が壊され新しい建物に建て替えられている。
街では建設ラッシュが起きている。
大規模な建設プロジェクトが相次ぎ土地の価格は高騰。
まさにバブルの様相である。
(地元の不動産会社)
「この物件の価格は今後2~3倍になるだろう。」
ガイアナに変化をもたらしたのは
5年前 海底から3,600m掘り進んだところから見つかった石油である。
去年からは石油の産出も始まった。
生産量は向こう5年以内に日産75万バレルを超え
政治の混乱で低迷するベネズエラを上回るとみられている。
政府が2025年までに得る利益は日本円で5兆円以上と見込まれている。
これはガイアナの去年のGDPを上回る額である。
(ガイアナ バノイ エネルギー担当大臣)
「我々は石油とガスで経済を多様化し
 経済自決権を手にすることができる。」
石油の影響でガイアナの産業は活気づいている。
石油会社に勤める人向けに去年10月に建てられたマンション。
「Wi-Fiやテレビ・家具など必要なものはすべてそろっています。」
単身者向けの家具付きで広さは80㎡ほど。
家賃は月20万円。
平均的がガイアナの人の月収の4倍ほどにあたるが
貸し出した30部屋余はすでに満室である。
運輸業界も好景気に沸いている。
タクシー会社を経営するペルソードさん(50)は
10年前わずか10台の車で会社を始めた。
石油産業のニーズにこたえるため車を140台にまで増やしてきたが
今年はさらに20台ほど購入する予定である。
(タクシー会社 社長 ペルソードさん)
「石油開発は大きなチャンスだ。
 我々のビジネスは成長している。」
国外に流出していた人材も戻ってくるようになった。
大手弁護士事務所で2年前から働くエディンボロさん(32)。
「昔は多くの大卒者が希望通りの給料をもらえる仕事に就けなかった。」
エディンボロさんは大学を卒業し
弁護士資格や石油ビジネス関連の学位も取得。
しかしガイアナに仕事がなかったため隣国のトリニダード・トバゴで働いていた。
その後ガイアナで油田が見つかると
大手弁護士事務所がガイアナに進出。
エディンボロさんも母国で仕事に就くことができた。
(弁護士 エディンボロさん)
「活躍できるチャンスがあるから
 多くの有能な人が戻ってくるだろう。」
南米の小国に突如やって来た石油バブル。
その利益を国の成長につなげることができるのか。
ガイアナは大きな節目を迎えている。

 

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