2月20日 NHKBS1「国際報道2020」
砂漠の広がる中東。
きびしい環境でも育つナツメヤシ。
その実を乾燥させたデーツは人々の生活に深く根付いている。
サウジアラビアの首都リヤドにあるデーツ専門店。
普段使いから贈答用までさまざまな種類のデーツが販売されている。
サウジアラビアでデーツはおもてなしの象徴。
店やホテルなど
外から人を出迎える際には必ず提供される。
ドバイで開催された世界最大規模の食の見本市 ガルフード。
自慢のデーツの販路を海外に広げようと
会場ではそれぞれの産地が品質を競い合っている。
(サウジアラビアの業者)
「預言者ムハンマドが好んだというデーツ“アジュワ”です。
イスラム教徒は皆好きです。
とてもおいしくヘルシーです。」
会場には意外な日本企業の姿が。
広島のお好み焼きソースメーカーの下平さん。
このメーカーでは
ソースの味にコクや深みを出すため独特の甘みがあるデーツを使ってきた。
そこにジワリとやって来た日本でのデーツ人気。
これをチャンスととらえ
デーツそのものも販売にも乗り出すことになったのである。
(お好み焼きソースメーカー 下平さん)
「デーツそのものが自然なコクのある甘みがあり
そのまま食べられるドライフルーツとして販売しようと。」
下平さんはヨルダンやエジプトなどさまざまな産地の中から
日本市場でも通用するデーツを探す。
「どんな種類のデーツですか?」
「ヨルダン産のデーツです。」
(お好み焼きソースメーカー 下平さん)
「産地品種によって味が違うので
いろんな品種を試して選んでいければいい。」
一方で
デーツが好きな中東の人たちに人気のある食材を売り込もうという動きも。
その食材が福島県徳庵の干し柿「あんぽ柿」。
もっちりとした甘い食感がデーツに似ていると言えば似ている。
福島県職員の菅野さん。
あんぽ柿は中東の人たちに受け入れられるのか。
反応を見るために見本市に参加した。
(福島県職員 菅野さん)
「こちらでドライフルーツをたくさん食べると聞き
今回のテスト輸出を考えた。」
あんぽ柿は9年前の原発事故の影響で風評が残り
今も20の国と地域で輸入が規制されている。
各国のバイヤーがそろうドバイで最高のあんぽ柿を味わってもらいたい。
菅野さんは生産現場を訪れ品質を確認した。
(福島県職員 菅野さん)
「非常に色の仕上がり・バランスが良いので
まずは色味とデザインで手に取ってもらい
現地で試食してもらえれば
良い評価をしてもらえると期待している。」
各国のバイヤーの反応はー
(カタールの業者)
「デーツとはちょっと違うけど
味が良くて好きです。」
(レバノンの業者)
「生のかきは食べたことがあるけど
ドライは初めてで
とてもいいわ。」
一方で課題も見つかった。
(イランの業者)
「賞味期限はどれくらい?」
「1か月です。」
持っちりとした食感を保つため
通常のドライフルーツと比べて短い賞味期限を気にする声も寄せられた。
菅野さんはこうした課題を持ち帰り
本格的な輸出に向けて調整を続ける考えである。
(福島県職員 菅野さん)
「素直に品質が評価され
美味しいねと言われることが励みになるし
これからの力になってくる。」