エルトン・ジョンが結婚するんだそうです。相手は17歳年下の同性。つまり彼氏。
エルトン・ジョンといえば、長年頭髪について悩んだ末に植毛に多大な費用をかけたこと、つねに奇妙奇天烈な眼鏡を愛用していること、ド派手なステージ衣装、そして同性愛と、どうも「音楽以外の話題でにぎわせてくれることの多い人」というのが、ぼくの正直な印象です。
しかし彼の生み出す音楽の素晴らしいことといったら!
エルトンには、ピアニスト、ボーカリスト、メロディ・メーカーという大きな三つの面があり、そのどれもがとても素晴らしいのです。
なかでも、クラシカルな響き、フォークの香り、ロックの持つ野性味などを大きく包み込んだ音楽性からは、数々の美しいメロディーが紡ぎ出されてきました。
ソング・ライターとしてのエルトン・ジョンの存在は、ポール・マッカートニーやジェフ・リンなどと並び、群を抜いていると言っていいでしょう。とくにバラードの美しさには、ただただ聴きほれるばかりです。
反面ステージの映像を見てみると、エルトンの本質はロックン・ローラーではないか、と思うほどワイルドなんですね。
ピアノの弾き語り、と言えば、70年代ではビリー・ジョエルをすぐ思い浮かべますが、ビリーが酒場でジャジーに人生を歌っているとするなら、エルトンは吟遊詩人、ってとこでしょうか。そんなイメージを持っています。
数々の名作を共に生み出してきた盟友バーニー・トーピン(左)と。
ぼくの愛聴曲は、『僕の歌は君の歌』、『グッドバイ・イエロー・ブリック・ロード』(このあたりは外せませんね)、『僕の瞳に小さな太陽』、『イエス・イッツ・ミー』、『ロケット・マン』、『ベニーとジェッツ』などです。いい曲、ほかにもたくさんありますよね。
エルトンが同性愛志向であることは随分前から広く知られていたことではあるけれど、同性婚のニュースを知った時、ぼくはやはり戸惑いました。
でも、それは同性愛者に対する偏見というより、自分が同性婚という「新しい価値観」にまだなじんでないから、だと思うんです。
故フレディ・マーキュリーとか、最近では元ワム!のジョージ・マイケルの同性婚など、いろんな人の同性愛が話題になりました。
自分はどう考えても女性が好き(笑)だけれど、当事者が自分たちのことを真剣に考えた結果の同性婚については、軽々しく否定はできないと思っています。
ただ、同性愛を否定するようでいて、実は差別する対象を求めている人々が、同性愛を差別の対象にしようとしていることには賛成できません。
とにかく、いろんな話題をふりまいてくれるエルトン・ジョンですが、まだまだ良い作品を生み出し続けてほしいものです。