ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

ウィズ・オール・マイ・ハート (With All My Heart)

2005年12月08日 | 名盤


 太平洋戦争は、64年前の今日、始まりました。
 もっとも、中国大陸ではその時点では戦火はすでに燃え広がっていたのですが。
 新聞を見ても、12月8日に太平洋戦争の開戦について語られることは、年々少なくなっている感じを受けます。
 それに比例して、過去を妙に美化したり、正当化したりする動きも年々目立って来ているような気がします。
 さまざまな見方があって当然だとは思いますが、ぼく自身は、過去を振り返るうえで歴史とナショナリズムは切り離して考えたい、と思っています。
 

 そんなことを考えながら今夜聴いているのは、ハーヴィー・メイスン(drums)のアルバムです。


     


 ドラムはもちろん全曲ハーヴィー・メイスンが叩いていますが、曲ごとにピアノとベースは代わります。つまり、全12曲を12種類のピアノ・トリオが演奏しているわけです。
 いや~、とってもゴージャス!
 ピアニストにはケニー・バロン、シダー・ウォルトン、ブラッド・メルドー、ハービー・ハンコック、チック・コリアなど、ベースにはジョージ・ムラーツ、ロン・カーター、チャーリー・ヘイデン、エディ・ゴメスなどがキラ星の如く名を連ねています。「豪華絢爛」の一言につきます。
 ジャズ好きであれば、どの曲・どのトリオを聴いてもヨダレが出そうになることでしょう。
 
 
 ハーヴィー・メイスンといえば、西海岸のトップ・ドラマーとして名をとどろかせています。昨今ではどちらかというとコンテンポラリーなイメージが強いハーヴィーですが、この作品では真っ向から「ジャズ」に取り組んでいます。
 4ビートのリズムに乗って叩き出すリズムは、まさにハーヴィーならではの「歌」です。
 スタイリッシュなグルーヴ感や音色、洗練されたフレーズの数々は、いつものフィールドと違っていても、ハーヴィーそのものだと思うんです。


      
 

 ぼくは日頃から「選曲とメンバーの人選も(リーダーの)音楽性を表す」と思っているのですが、このアルバムからも同じことが言えるような気がします。
 それぞれのトリオから出てくる音は異なるはずなのに、不思議と散漫な感じは受けません。この統一感が、きっとハーヴィー・メイスンの音楽性、つまり「With All "Mason's" Heart」なのでしょうね。


◆ウィズ・オール・マイ・ハート/With All My Heart
  ■録音
    2003年4月10~18日(ニューヨーク ①~⑧、⑪~⑫)、2003年6月~7月(ロサンゼルス ⑨⑩)
  ■リリース
    2004年9月1日
  ■プロデュース
    ハーヴィー・メイスン/Harvey Mason
  ■収録曲・収録メンバー
    ① バーニーズ・チューン/Bernie's Tune (Lieber/Stoller)  Kenny Baron (piano)、Ron Carter (bass)
    ② イフ・アイ・シュッド・ルーズ・ユー/If I Should Lose You (rainger/robin)  Chick Corea(piano), Dave Carpenter (bass)
    ③ ソー・ニア、ソー・ファー/So Near, So Far (V. Feldman)  Fred Hersch(piano), Eddie Gomez(bass)
    ④ スワンプ・ファイアー/Swamp Fire (H. Mooney)  Monty Alexander(piano), Charnet Moffett(bass)
    ⑤ 煙が目にしみる/Smoke Gets In Your Eyes (Kern/Herbach)  Bob James(piano), Charlie Haden(bass)
    ⑥ ハインドサイト/Hindsight (C. Walton)  Cedar Walton(piano), Ron Carter(bass)
    ⑦ ジンジ/Dindi (Jobim)  Brad Mehldau(piano), Larry Grenadier(bass)
    ⑧ ウィズアウト・ア・ソング/Without a Song (Eliscu/Rose/Youmans)  Mulgrew Miller(piano), Ron Carter(bass)
    ⑨ ワン・モーニング・イン・メイ/One Morning In May (H. Carmichael)  Dave Grusin(piano), Mike Valerio(bass)
    ⑩ スピーク・ライク・ア・チャイルド/Speak Like a Child (H. Hancock)  Herbie Hancock(piano), Dave Carpenter(bass)
    ⑪ テス/Tess (J. Beasley)  Hank Jones(piano), George Mraz(bass)
    ⑫ P's & Q's/P's & Q's (H. Maison/J. Beasley)  John Beasley(piano), Ron Carter(bass)
    ※⑫=日本盤ボーナス・トラック


コメント (2)
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