何年か前に、友人に借りて一本のビデオを見ました。
現代ジャズ・トランペッターの最高峰のひとりであるウィントン・マーサリスが、子供たちの前でジャズのレクチャーをするという衛星放送の番組を録画したものです。
例えがとてもわかりやすく、とても面白いレクチャーでした。そのうえ、マーサリスをはじめ、一流プレーヤーの演奏をふんだんに見ることができたのですが、そこにゲストとして招かれていたのが、ヨーヨー・マだったのです。
ヨーヨー・マの演奏を聴いたのはその時が初めてだったのですが、その音色にはホレボレしてしまいました。
ジャズのフォーマットにはあまり慣れてないようだったので、方法論の異なる「ジャズ」というカテゴリーの中ではいくら天下のヨーヨー・マでも戸惑うだろう、と興味本位で見ていたら、いやその演奏の素晴らしいこと!
デューク・エリントンの「ムード・インディゴ」という曲をセッションしていたんですが、なんて楽しそうに演奏するんでしょう!こんなに楽しそうに演奏する人の音が楽しくないはずがありません。まるで、曲に「命を吹き込んでいる」かのようでした。
その後、ふとしたことでヨーヨー・マに関して書かれたブログの記事を読みました。
【Yo Yo Maのバッハ】
【元気がでるYo Yo Ma!】
それに啓発されて、ヨーヨー・マのCDを2枚買ってきたというわけです。
『The Best Of Yo-Yo Ma』
『Cantabile ~The Best Of Yo-Yo Ma~』
たくさん出ているアルバムの中から、まずはぼくの好きなビバルディの『四季』より「冬」、バッハの『主よ、人の望みの喜びよ』、同じくバッハの『無伴奏チェロ組曲第1番』なども入っているベスト・アルバムを選びました。
これが世界のトップ・チェリストの音色なんですね。
ふくよかで、温かくて、とっても細やか。そして、チェロでいろんな情景を見せてくれるんです。
聴いているこちらが素直に謙虚になることができるような、そんな音だと思います。でも、決して肩肘張った、尊大な音楽ではないんですよね。とても親しみやすいです。
クラシック畑ばかりではなくて、ジャズ、映画音楽、タンゴ、民族音楽など、さまざまな分野の音楽とも積極的にコラボレートしているようです。名を成しても開拓者精神を持ち続けているその姿勢にも敬服します。
せっかくヨーヨー・マの音楽に出会えたのだから、もっとじっくり聴いて、もうちょっと近づいてみようっと。