ぼくはビートルズのアルバムは全部好きだ。
なかでも「マジカル・ミステリー・ツアー」は、そのカラフルなところがとても気に入っている。
このアルバムに収められている11曲中、1~6曲目は、同名テレビ映画のサウンド・トラックである。
ビートルズがこのテレビ映画で意図したところは、「ドラッグ体験に基づくサイケデリック感覚の映像化」だそうだが、まさしくこのアルバムの曲群は、サイケデリックな感覚に満ちた、色彩感覚あふれるものだと思う。そしてそれは、6曲目までだけではなくて、収められている11曲全てから感じられるものだ。
メロトロンやホーン・セクションの効果的な使用、実験的かつ前衛的なアレンジ、インド音楽への接近、機械操作による効果音、シュールな歌詞などが、この作品が醸し出している独特の空気を形作っていると思う。
収録されている曲の作風も、非常にバラエティに富んでいる。
はじめてこのアルバムを聴いてから20年以上になるが、全然飽きがこないのだ。もっとも、それはこの作品に限ったことではないのだが。
アルバムの中ではとくに、『ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー』と『アイ・アム・ザ・ウォルラス』に惹かれる。この2曲の持つシュールな雰囲気とトリップ感が大好きなのだ。
『ハロー・グッドバイ』や『ユア・マザー・シュッド・ノウ』のポールらしいポップな曲も、もちろん大好きである。
ビートルズの作品は、ぼくにとっては「どのアルバムが好きか」というより、「アルバムのどこが好きか」である。
ビートルズの作品には駄作がないと思う。そして、デビュー作からラスト・アルバムを発表するまでの間に聴くことのできるさまざまな音楽性や、「進化の度合い」も驚異的だと思っている。
◆マジカル・ミステリー・ツアー/Magical Mystery Tour
■歌・演奏
ビートルズ/Beatles
■リリース
1967年11月27日(アメリカ)、1968年12月5日(日本)
■プロデュース
ジョージ・マーティン/George Martin
■収録曲
[side A]
① マジカル・ミステリー・ツアー/Magical Mystery Tour (Lennon-McCartney)
② フール・オン・ザ・ヒル/The Fool On The Hill (Lennon-McCartney)
③ フライング/Flying (Harrison, Lennon, McCartney, Starkey)
④ ブルー・ジェイ・ウェイ/Blue Jay Way (Harrison)
⑤ ユア・マザー・シュッド・ノウ/Your Mother Should Know (Lennon-McCartney)
⑥ アイ・アム・ザ・ウォルラス/I Am The Walrus (Lennon-McCartney)
[side B]
⑦ ハロー・グッドバイ/Hello, Goodbye (Lennon-McCartney)
⑧ ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー/Strawberry Fields Forever (Lennon-McCartney)
⑨ ペニー・レイン/Penny Lane (Lennon-McCartney)
⑩ ベイビー・ユーアー・ア・リッチマン/Baby You're A Rich Man (Lennon-McCartney)
⑪ 愛こそはすべて/All You Need Is Love (Lennon-McCartney)
■録音メンバー
[Beatles]
ジョン・レノン/John Lennon
(lead-vocals①⑥⑧⑩⑪, harmony & backing-vocals, scat③, acoustic & electric-guitars,
acoustic & electric-piano, mellotron, organ, clavioline, harosichord, banjo, harmonica, jew's-harp)
ポール・マッカートニー/Paul McCartney
(lead-vocals①②⑤⑦⑨, harmony & backing-vocals, scat③, bass, acoustic-guitars, piano, mellotron, harmonium, recorder, penny-whistle)
ジョージ・ハリスン/George Harrison
(lead-vocals④, harmony & backing-vocals, scat③, guitars, organ, swarmandal, violin, harmonica)
リンゴ・スター/Ringo Starr
(drums, percussions, backing-vocals⑦, scat③)
[additional musicians]
マル・エヴァンス/Mal Evans (percussion①⑧)
ニール・アスピノール/Neil Aspinall (percussion①)
ジョージ・マーティン/George Martin (piano⑨⑪)
デヴィッド・メイスン/David Mason (piccolo-trumpet solo⑨)
backing-vocals on⑪=Mick Jagger, Keith Richards, Marianne Faithfull, Keith Moon, Eric Clapton,
Pattie Boyd Harrison, Jane Asher, Mike McCartney, Maureen Starkey, Graham Nash etc...
■チャート最高位
1967年週間アルバム・チャート アメリカ(ビルボード)1位
1968年年間アルバム・チャート アメリカ(ビルボード)4位