SNSでの誹謗中傷の書き込みが問題になっています。
先般、著名人を自殺に追い込む事件が起こりました。
わたしは学校教育に従事する者として、人を傷つけるような誹謗中傷は許されないと、生徒に言ってきました。
言葉一つで、人を励ますこともできるが、人を傷つけるのも言葉であると伝えてきました。
そして、わが国では誹謗中傷がよくないという良識が、けっこう多くの人びとの意識に浸透していると思っていました。
しかし、インターネット上のひどい書き込みは、匿名性という「よろい」を身につけ人により行われます。
匿名性のため、人は思慮がたりなくなり、受けた相手を深く傷つける言葉を発したり、表現する「自由」を行使することが平気になります。
インターネット上の誹謗中傷を書き込んでいる人に、被害者は法的措置を取れないのでしょうか。
それはかなり難しいのが現状です。
まず、サイトの運営者に書き込みの発信者を開示するように請求するだけでも時間と労力がかかります。
開示請求を弁護士に頼めば、最低50万から60万円ほども費用がかかります。
かりに、開示請求が通り、相手のIPアドレスがわかっても、プロバイダーがもつログ情報の期限が切れていて、書き込み相手の特定にまでたどり着かないこともあります。
こんな状況を鑑みて、発信者の特定を簡単にするための制度改正を、現在、国は進めています。
人が考えや意見を述べる自由は許されるべきですが、面識も話したこともない特定の個人に対して書き込みをするのは慎重になるべきだと思います。
相手は感情をもつ人間だからです、誰だって誹謗中傷されれば、気になるし、傷つくのです。
学校教育の中でも、SNSの正しい使い方を教育するのは、今の時代を生きる子どもにとって、喫緊の課題です。
安易な書き込みはたやすくできますが、受ける側には人が控えているのです。その人の気持ちに想像力をはたらかせたいのです。
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