あるNPO法人が、生活困窮世帯を対象に行ったアンケート調査結果があります。
インターネット環境がないとと答えた家庭は約6%でした。
インターネット環境があると答えた家庭のうち、通信量の無制限が約7割、制限があるが約2割でした。
家庭に子どもが自由に使える端末は、スマートフォンのみが、全体の約三分の1、いずれもないが1割ちょっとでした。
この状況のもとでは、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための休校期間中に、子どもがオンラインの学習ができた/できなかったという格差につながったと考えられます。
公教育の絶対的な原則は、学校教育の中で家庭環境に関係なく、すべての子どもに同じ教育機会を保障することです。
これは、自治体がすべきことです。しかし、今回の休校期間で明らかになったことは、日本の教育の分野でのICT環境の整備はきわめて遅れているということでした。
文部科学省の4月16日時点での調査では、全国1213自治体のうち、デジタル教材を使うのは3割で、双方向型のオンライン授業をするのはわずか5%でした。
では、国はICT整備に、何もしなかったのでしょうか。
そうではありません。国は、今の「GIGAスクール構想」より前に、「教育のIT化に向けた環境整備4ヶ年計画」で、地方公共団体に財政措置をしてきました。
2014年度から2017年度までの4年間、単年度約1,678億円(4年間総額約6,712億円)もの地方財政措置が講じられてきました。
このお金で学校に電子黒板や無線LAN、タブレット、学習アプリなど整備してくださいというものでした。
ところが、他にお金がいるからという理由で、ICTは後回しにして、他にお金を使った自治体が多かったのです。
(なお、この財源を教育のICT化に使った自治体は、今回の休校期間にデジタル教材やオンライン授業を実施できています。)
そして、今回、「いやー、うちの市の学校では機材が揃ってなくて、オンライン授業ができないのですよ」と、言っているのです。
地方自治体はどこも財政難で、他にお金を使う必要があるのもわかります。
でも、教育にお金をかけないと、社会は発展しません。
学校教育で児童生徒を育てるのは、日本の未来社会への先行投資という側面があります。
せめて、地方行政の関係者のみなさんは、後ろめたさを感じながら、「じつは、ICT用の予算は、ほかの事業に使ってしまいました。児童生徒のみなさんには、申し訳ないのですが、一人1台のタブレットをお渡しできていません」と正直に言うべきです。
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