男女間の格差は、雇用形態、賃金、世代別就労人口など、雇用面で指摘されることが多いですが、教育でもその格差を見ることができます。
一つは日本の学問では、理系分野より文系分野を選ぶ女性が圧倒的に多いという状況があります。
この現象は以前から何十年も続いていましたが、2019年では、自然科学や工学を選んだ高等教育機関に入った学生のうち、女性は国際比較すると36カ国中最下位なのが日本でした。
その分野で女性が少ないというのは、研究の視点が多様にならないという大きな問題をもっています。
ただ、文科省の調査では、大学の入学者のうち女性の比率は理学部がおよそ30%、工学部が15%で、少しずつは増えてきていることは言えます。
日本での男女の格差は縮まってはきているのですが、他の国は女性の増加はもっと大きいのでしょう。
また、高等教育機関での女性が占める割合で一番多いのは、ロシア、次いでリトアニア、ラトピア、フィンランド、ニユージーランド、カナダ、アメリカという順位になります。
日本では、中学校の年齢段階から「女子が理系が苦手」という生徒の思い込みは、何十年も続いています。教員のなかにもそう考える人がいます。
安直に「理系は男子、文系は女子」という固定的な見方にとらわれているのです。
しかし、わたしは日本の女子学生の科学知識や科学技術が低いとはけっして思いません。
「自分は将来、科学分野に進みたい」と希望する女性を増やすには、進路学習の中で意図的に女性科学者と出会う機会を設けるなど、女子が理系の仕事に就く夢を育む学習が必要になります。
じっさい、中学校段階での進路学習が、将来の夢につながることは珍しくありません。
何10年かぶりに出会った卒業生に「いま何をしているの」と聞くと、「整備士をしている」と答えた人がいました。
「へー、どういうきっかけで? 」と問うと・・・。
「先生忘れたのですか。中3の時、教室に整備士の人がきて話をしてくれたやないですか。あのときから、ボクは整備士に憧れ、整備士になったのです」。
このように、中学時代の進路学習が将来の仕実際につながることがあるのです。
ですから、人との出会いは大きいのです。理系分野に従事する人に女子を出会わせ、将来の夢を育む学習は、子どもの可能性を広げることになります。
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