「わたしねえ、この前の休みに、家族と三ツ星のレストランへ行ったのよ」と友だちに言いました。
このとき、それを聞いた側は「えー、どこへ行ったの。よかったでしょう」と返す場合と、「ああそう、私も行ったわ」と返す場合では、大違いです。
前者は、相手のよかったという感情を受け、レストランへ行った喜びをいっしょに楽しみます。
後者は、相手の出鼻をくじくというか、言われた側はこれから話そうと思っている気持ちを削がれてしまう。
そのようなちがいがあると思います。
また、夫が仕事から帰宅して、開口一番、「今日はたいへんだった。疲れた」と言いました。
妻がそれを聞き流したうえで、「わたしだって、疲れたわよ」と話題を自分のことに引き寄せると、二人の間はうまくいかないでしょう。
私たちは、最近、とかく関心が、相手よりも自分に向きがちになります。
自分の感情や気持ちを大事にする傾向があります。そんな時代でもあります。
また、個としての自立を大事する社会的風潮があり、自己主張ができる大切さを人びとは言います。
それはそれで大切なのですが、自己主張の前に、他者への共感が先にあるのではないかと私は思います。
だから、とりあえずは「えー、そうなんですか」「それはすごいですね」「よかったでしょう」と返す方がいいのです。
ただし、相手にほんとうに共感できるためには、自分自身もさまざまな経験を積んでいる必要があるのです。
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