中上健次

中上健次を読みながら
不安の中にいる

中上健次の本には
坂東真砂子に似かよう魅力がある

黒潮の海のせいかもしれない
黒潮の海の匂いは

志摩で育った祖母の血が
私の心を揺るがすのかもしれない

時間があったら志摩を枯れ木灘を
高知の海を歩いてみたいと思う

美しさと険しさと激しさ
黒潮の海を無心で眺めていたい

そんなことを思いながら心は

いいようのない四肢のだるさに
確実に少しずつ寄る不安の中にいる