風のように

ゆらり 気ままに 過ごすとき
頭の中は妄想がいっぱい
錯覚の中で生きるのが楽しみ

2021-02-02 01:42:24 | こころ
夫が健在だった頃
じゃないかまだこの世にいた頃

どこでも行きたがり屋の私に
何処にも行けない夫と

よく行ったところと言えば散歩
往復1km余りを休み休み1時間ほどかける

電柱から電柱まで頑張って歩き
電柱にもたれて反省猿のように

呼吸を整え休む
次の電柱にまたもたれる

道端の草木
蠢く昆虫や空飛ぶ小鳥

時には田圃でじっと餌を狙う鷺
そのうち

歩くことも困難になった夫と
出かけたのは平池

夕やけ100選にも入る人口の池
農業のための灌漑池

幾つかの古墳があり
渡り鳥の飛来池でもある

車椅子に乗った夫を押して
孫や娘と過ごした

そんな外出も困難になって
室内を車椅子に乗せられて

移動するのもトイレだけになった
大声一つ出す呼吸も困難になって

呼び鈴を利用するようになった
それでも夫は

私を旅行に連れていってくれようと
地図を持ってこいと言っては

好きなところへ誘ってくれた
コロナ禍ではバーチャルの旅だろうか

そんな風に
夫の闘病時代は

周りを励まし
看病の辛さを感じることなく

家族のありがたさ愛しさに溢れ
小さな幸せに包まれていた

人はよく
大病を患ったり

経済面など苦労している人を
何々云々と言うのを聞くが

そうとばかりは言えない
心配の種は尽きないが

家族のありがたさを知り
ほんとうの労りや幸せをかみしめる

夫が去って11年
感動する気持ちが薄らいで

綺麗なものを見失う
幸せを感じなければ

綺麗なものを
見失う

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする