書評 BOOKREVIEW
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洒脱にして皮肉たっぷり、悠揚迫らぬ批判は中国古典で締めくくられる
長い歴史のスパンから泡のような時局を論じ、本質を抉る
加地伸行『平和ボケ日本 偽善者白書』(ワック)
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平和惚けばかり、石破首相を筆頭に岸田文雄、野田聖子、三木谷浩史、浅田彰、辺見庸など偽善者を軽くいなしたうえでばっさり斬り捨てる。
(それにしてもトランプに早期に会いに行くと言っている石破総理よ、行くと馬鹿にされるから止めた方がいいよ)
韓国、中国の肩を持って政治宣伝の片棒をかつぐ学者、文化人、ジャーナリストなどは「三流のチンドン屋である」と加地氏は一刀両断。
カマラ・ハリスが勝つと民主党贔屓のチンドン屋も目立ったが、トランプ大勝のあとは沈黙している。
左の「オピニオンリーダー」なんて偽善者の最たる類いだろう。
平明な形容だが、肺腑を抉り出す批判の連続、しかもまったく嫌みがない、感情的ではない。すっきりとしているのだ。
洒脱にして皮肉たっぷり、悠揚迫らぬ批判の文章は中国古典でしめくくられる。左翼偏向のメディアは『アホ・バカ』の一言でお終い。
だから後味も清涼飲料のごとし。
さて本書の核心のひとつが学制改革と国防である。
「本来なら、肉体労働やサービス業等に進んで幸福な生活ができる者の大半が、なんと高校や大学に進学して不幸になってしまっている」。
その通りである。学歴偏重社会が日本から活気をうばったのだ。
「このような不幸な人生を歩む予備軍をつくっているのが、現在の高校や大学の大半なのである」。
嗚呼「不幸な人生」という表現はじんときますね。
率直に言って大學へ行くのは時間の無駄、そもそも看護士がなぜ四大を卒業しなければ資格が得られないのか。文科行政の利権だからか。
関連して加地氏は外国人対策として、「彼らの安全を日本が担っている以上」、この人たちから年間二十万円ほどの「国防税」を取れ、現にスイスは外国人の長期滞在者らから年間三十万円ほどの「国防税」を徴収しているではないかとする。
ここで評者(宮崎)の提言をくわえておくと、大學授業料を自衛隊に最低二年つとめた若者には免除にすると良い。自衛隊の恒常的人員不足がおぎなえるうえ若者に国を護るとはいかなることかを体験させられるではないか。
自主防衛についても加地先生はこう言われるのだ。
「自国が侵略されたとき、反撃を外国軍に頼るなどという国家に対して、だれが共に闘ってくれるというのだ。アメリカの青年兵が、生死の境に在るというとき、日本の青年は、喫茶店で珈琲を飲み音楽を聴いていて良い、というのか。それで良いのか、それこそ人間として」(168p)
ここで詩経からの抜粋がある。
「他山の石 以て玉を攻(みが)くべし」
☆○◎☆み◎☆◎○や○☆◎○ざ☆○◎☆き☆◎○☆
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和六年(2024年)11月26日(火曜日)
通巻第8522号 より
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同号の読者欄に
「集合写真撮影欠席はフジモリ大統領の墓参で渋滞に巻き込まれたためと言い訳。(一部抜粋)」(PB生、千葉)
とあって、宮崎氏からのコメント。
「故フジモリ大統領のお墓参りで、儀式的な集合写真を欠席したとすれば、それはそれで快挙では?ラストサムライを弔うことが烏合の衆の集まりより大事だと密かに示唆したかも。考えすぎ?」。
この話は何度もネット記事で目にしましたが、勿論、「考え過ぎ」でしょう。宮崎氏、冗談で言っていると思います。実際に交通渋滞で遅れたらしいですから。
この件について
「墓参りをするなら、大使館を守って殉職した兵士の墓にこそ参るべきではないのか」と言う意見や「大事な集合写真に遅れるとは何事か!(こっちがほとんどだったけど)」等の意見が見られました。
けど、「烏合の衆の集まりである儀式的な集合写真よりラストサムライを弔うことの方が大事だ」、なんて考えもしなかった。
遅れた云々は別にして、これこそが本筋。そして殉職した兵士は国のために戦ったわけだから、まずはその時の大統領が代表して墓参の栄誉を受けるのが当たり前。それが順序です。
そんなことを考えもしなかった。ボケの一員だと自分でも思います。
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