J.S.バッハの曲で好きなジャンルの曲として以前投稿した「無伴奏チェロ組曲」や「無伴奏ヴァイオリン組曲」と並び、クラヴィーア曲の数々を挙げることができる。バッハのクラヴィーア曲といえば、クラヴィコードとクラヴィチェンバロのいずれかのために作曲された曲を指す。
代表的な曲目の邦題を挙げると「平均律クラヴィーア曲集・第1集、第2集」「インヴェンションとシンフォニア」「フランンス組曲」「イギリス組曲」「パルティータ」「半音階的幻想曲とフーガ」「イタリア協奏曲」「ゴルトベルグ変奏曲」などがその代表的なもので今日でもしばしば演奏されているものだ。
そして、今回のタイトルである『バッハ弾き』とはこれらの曲を演奏するソリストたちのことを指している。この一群のクラヴィア曲の全曲録音を達成したソリストは過去に何人もいるが、特筆すべきはなんといってもカナダ出身の天才ピアニスト、グレン・グールド Glenn GOULD(1932-1982)の存在だろう。主に現代ピアノによる演奏だが、バッハの音楽思想に強く共感し独自の解釈と演奏方法により数多くの素晴らしい録音を残した。あのバッハ弾きの大家であるリヒテルをして「バッハの最も偉大な演奏者」と言わしめたのだった。
そして、「未知の地球外的知的生命体への、人類の文化的傑作」として宇宙船ボイジャー1号、2号にゴールデン・レコードとして搭載されたことでもよく知られている。
グールドの演奏は素晴らしい、グールド抜きにバッハのクラヴィア曲は語れない。僕自身も20代のLPレコード時代からグールドのバッハを繰り返し聴き続けてきた。その音は今聴いても鮮度を失わないどころかいつも新鮮に響いている。だが、あまり長い期間聴き続けていると他のバッハも聴いてみたくなるというのも人情というものである。それは他のジャンルの愛好家、美術愛好家や文学愛好家でも同じことが言えるのではないだろうか。
というわけで、今回からの投稿となるこの『バッハ弾き』はグールド以外のソリストのものを取り上げて行きたいと思いキーボードに向かったわけである。
第1回目として登場していただくのはオランダ出身のチェンバロのマイスター、グスタフ・レオンハルト Gustav LEONHARDT(1928-2012)である。この人のバッハへのこだわりも並大抵のものではない。元々、このクラヴィア曲群は古楽器であるチェンバロなどのために作曲されたものなので、その演奏は王道中の王道と言っても過言ではないだろう。
1950年、ウィーンにおいてバッハの「フーガの技法」を演奏してチェンバロ奏者としてデビューするが、その後、指揮法を学んだり、教会のオルガニストとして務めたりもしている。そして鍵盤楽器奏者として職人気質なのかと思いきや指揮、教育そして楽理研究にも熱心であり、特にバッハに関してはほとんどのジャンルの曲を研究対象とし、未完成とされていた器楽曲などを「完成された曲」などとして発表したことでも知られていて「現代のバッハ」などと呼ばれている。
レオンハルトの演奏の根底には美や真実への洞察力、調和の感覚、知性と衝動の均衡がある。そして楽器は手段に過ぎないとして、音響装置や装飾音ばかり取沙汰にする現代のクラシック界を嘆いていたとされている。グールドもそうだが対照的な古典主義者ともいえるレオンハルトも、かなりなこだわりの人である。この後、ご紹介するソリストも含めて『バッハ弾き』というのは一言で言って「頑固で変わった人」が多い。
最後にレオンハルトの演奏哲学を良く表している言葉を一つご紹介しよう。
「作曲された時代の人々の確信と理想をつかむことが、音楽家として確信を持って演奏することに繋がるのです」
まだ、レオンハルトのバッハを聴いたことがないという方々、その古典的な美しさと品格を併せ持つ音を是非、一度聴いてみてください。
画像はトップがレオンハルトの肖像画像、下が向かって左からバッハの肖像画、最近お気に入りのグールドのバッハアルバム、レオンハルトのバッハのCDアルバム3枚。
代表的な曲目の邦題を挙げると「平均律クラヴィーア曲集・第1集、第2集」「インヴェンションとシンフォニア」「フランンス組曲」「イギリス組曲」「パルティータ」「半音階的幻想曲とフーガ」「イタリア協奏曲」「ゴルトベルグ変奏曲」などがその代表的なもので今日でもしばしば演奏されているものだ。
そして、今回のタイトルである『バッハ弾き』とはこれらの曲を演奏するソリストたちのことを指している。この一群のクラヴィア曲の全曲録音を達成したソリストは過去に何人もいるが、特筆すべきはなんといってもカナダ出身の天才ピアニスト、グレン・グールド Glenn GOULD(1932-1982)の存在だろう。主に現代ピアノによる演奏だが、バッハの音楽思想に強く共感し独自の解釈と演奏方法により数多くの素晴らしい録音を残した。あのバッハ弾きの大家であるリヒテルをして「バッハの最も偉大な演奏者」と言わしめたのだった。
そして、「未知の地球外的知的生命体への、人類の文化的傑作」として宇宙船ボイジャー1号、2号にゴールデン・レコードとして搭載されたことでもよく知られている。
グールドの演奏は素晴らしい、グールド抜きにバッハのクラヴィア曲は語れない。僕自身も20代のLPレコード時代からグールドのバッハを繰り返し聴き続けてきた。その音は今聴いても鮮度を失わないどころかいつも新鮮に響いている。だが、あまり長い期間聴き続けていると他のバッハも聴いてみたくなるというのも人情というものである。それは他のジャンルの愛好家、美術愛好家や文学愛好家でも同じことが言えるのではないだろうか。
というわけで、今回からの投稿となるこの『バッハ弾き』はグールド以外のソリストのものを取り上げて行きたいと思いキーボードに向かったわけである。
第1回目として登場していただくのはオランダ出身のチェンバロのマイスター、グスタフ・レオンハルト Gustav LEONHARDT(1928-2012)である。この人のバッハへのこだわりも並大抵のものではない。元々、このクラヴィア曲群は古楽器であるチェンバロなどのために作曲されたものなので、その演奏は王道中の王道と言っても過言ではないだろう。
1950年、ウィーンにおいてバッハの「フーガの技法」を演奏してチェンバロ奏者としてデビューするが、その後、指揮法を学んだり、教会のオルガニストとして務めたりもしている。そして鍵盤楽器奏者として職人気質なのかと思いきや指揮、教育そして楽理研究にも熱心であり、特にバッハに関してはほとんどのジャンルの曲を研究対象とし、未完成とされていた器楽曲などを「完成された曲」などとして発表したことでも知られていて「現代のバッハ」などと呼ばれている。
レオンハルトの演奏の根底には美や真実への洞察力、調和の感覚、知性と衝動の均衡がある。そして楽器は手段に過ぎないとして、音響装置や装飾音ばかり取沙汰にする現代のクラシック界を嘆いていたとされている。グールドもそうだが対照的な古典主義者ともいえるレオンハルトも、かなりなこだわりの人である。この後、ご紹介するソリストも含めて『バッハ弾き』というのは一言で言って「頑固で変わった人」が多い。
最後にレオンハルトの演奏哲学を良く表している言葉を一つご紹介しよう。
「作曲された時代の人々の確信と理想をつかむことが、音楽家として確信を持って演奏することに繋がるのです」
まだ、レオンハルトのバッハを聴いたことがないという方々、その古典的な美しさと品格を併せ持つ音を是非、一度聴いてみてください。
画像はトップがレオンハルトの肖像画像、下が向かって左からバッハの肖像画、最近お気に入りのグールドのバッハアルバム、レオンハルトのバッハのCDアルバム3枚。