近年,マイクロプラスチックの環境影響への懸念が高まっています。
水稲栽培においては,省力的で肥料利用効率の高い緩効性肥料(プラスチック資材による被覆肥料)を配合した複合肥料が普及してきました。しかし,使用後の被覆材(プラスチック資材)が河川を通じて海洋に流出することが新たな問題として認識されるようになってきています。
この海洋プラスチック問題の解決に向けて,気仙沼市の株式会社階上生産組合では,ペースト2段施肥の実証試験を行うこととし,5月11日に計90a(30a×3筆)の田植え作業を実施しました。本技術は,ペースト状の肥料を移植時に2つの異なる深さで2段施肥することにより,緩効性肥料と同様に肥料の効果が現れる時期を調節するものです。
これにより,肥料の被覆材削減だけでなく,肥料補給作業の軽労化,雨天時も同様に作業できることによる計画作業の促進などといった利点も期待されます。
実証試験は新みやぎ農業協同組合,片倉コープアグリ株式会社が主体となっており,当地域での適用性確認に向け,今後は生育や収量・品質に関する調査が行われる予定です。
<連絡先> 宮城県気仙沼農業改良普及センター 先進技術班
TEL:0226-25-8069,FAX:0226-22-1606