名取市は,東北一のカーネーション産地として,昭和40年代からカーネーション栽培を行ってきました。名取市小塚原地区では8名の生産者が意欲的に取り組んでおりましたが,東日本大震災で自宅,農業用施設とも津波の壊滅的な被害を受けました。
地震が発生した3月11日は,お彼岸向けにカーネーション出荷量が増え始めた時期でした。また,3月の卒業シーズン,4月の入学シーズン,5月の母の日に向けて出荷量が増えていく予定でした。
しかし,予想をはるかに超える大津波により,パイプハウスはすべて倒壊し,鉄骨ハウスの入り口を押し破って瓦礫や乗用車が流れ込むなど目を疑うほどの被害状況でした。
震災後は,8名とも親類や避難所に身を寄せていましたが,徐々に自宅の片付けなどもできるようになり,今後の営農再開を考えられるようになりました。
一時は,小塚原のカーネーションは復興できないのではないか・・と誰もが思いましたが,津波で海水や土砂をかぶったカーネーションは枯れずに次々と新しい芽を出しており,その耐塩性に驚き,生命力の強さに生産者は励まされました。
施設,機械,運転資金などこれからの課題は山積していますが,残ったハウスの土壌を除塩し,また,カーネーションを作付けできるように皆で頑張っていこうと気運が高まっています。
残っているカーネーションをゆずってほしいという消費者からの要望,また,閖上地域で命を落とされた多くの方々を花を飾って弔いたいという声もあり,ハウスに残っているカーネーションを束花にしてスーパーの店舗や閖上朝市などで直売を始めました。母の日に向けては秋田県の業者から4000本の注文があり,復興に向けた様々な取り組みを始めていこうとしています。
宮城県亘理農業改良普及センター
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